TPPテキスト開示問題、裏で何があったのか

不可解な西村康稔内閣府副大臣の一連の発言

なぜこのような混乱が生じたのだろうか。そして西村氏が撤回をした理由は何なのだろうか。13日の衆院農水委員会で、西村氏が以下のように釈明している。

「常々、できる限り情報開示すべきだという思いは持っているので、日本でも何か工夫はできないのかなと常に強く思っていた。その思いが強く出てしまって、あのような誤解を招くような発言になってしまったのを反省している」

要するに具体的に情報開示することは西村氏の本意ではなく、言葉が走った結果だったというのだ。だが、会見の冒頭における発言で副大臣が、関係省庁との調整がない個人的な思いを述べることはありうるのだろうか。

「これは本来なら大臣が言うべきことだ。大臣に相談せずにやったとは思えない。もし相談せずにやったのなら、大臣の権能に踏み込んだ越権ではないか」

与党からもこのような厳しい批判が出た。公明党の石田祝稔衆院議員だ。石田氏はまた情報が漏えいした場合に米国では厳しく罰せられるが日本では不可罰とする西村氏に対し、「たとえ罰則があったとしても、果たして議員を罰するようなことはありえるのか」と疑問を投げている。

民主党は西村副大臣を「応援」

日米の法制度の差については民主党の玉木雄一郎衆院議員が、2013年に衆参両院の農水委員会で「TPP協定交渉参加に関する件」を全会一致で決議したことの意味を問うている。さらに守秘義務違反に対して刑事罰をかけるのは立法府の自立性にかんがみて疑問であること、TPP特別委員会を秘密会として開催し、それでも情報が漏れた場合は国会法122条に基づく戒告・登院停止・除名などで対処するのが相当だと主張し、西村氏にこう呼びかけた。

「大事なことは日米の制度の違いではない。4日の西村大臣に戻ってほしい。そしてできるだけ米国に近づいた情報公開をしてほしい」

希望は情報公開の法整備だ。すでに民主党と維新の党はTPP交渉の情報開示について「国民経済及び国民生活に重大な影響を及ぼすおそれのある通商に係る交渉に関する情報の提供の促進に関する法律案」を作成している。

さておそらくこの日が政治家として最も厳しい1日であったに違いない西村氏は、13日午後9時過ぎに「12カ国の間で保秘契約があり、また日米で制度の違いがあることから、米国と同じようにはできないが、日本の制度、制約のもとで、さらに開示の工夫ができないか真剣に検討したい」とtwitterに書き込んだ。その文面からは、走りすぎた最初の思いを精一杯取り戻そうとしているのが読みとれる。

5度目の当選を果たした昨年12月には、「初心は忘れずとも、もう5期目。これまでの経験を活かし中心的な役割を担う立場に。若手を引っ張り責任をしっかりと果たしていく決意」とtwitterに書き込んだ西村氏。その言葉通りに、情報開示への意欲は失っていないようだ。

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