この男性は、経営・投資ビザでやってきている中国人は主に飲食店、民泊、貿易、不動産、旅館などのビジネスをしていると明かす。「日本には外国人による出資が規制されている産業が多く、投資できる分野が限られている」というのが彼の嘆きだ。
男性は、「日本の金融機関にお金を寝かせていても利子がほとんどない」「来日してすぐに口座を開設できる金融機関がほとんどなく、これは理解不能だ」とこぼす。手続きも郵送や窓口で対応が必要であるなど複雑であることから、中国人新移民からは金融機関に対する不満の声をよく聞く。
日本人は「潤」でやってくる中国人とどのように付き合っていくべきだろうか?
オーストラリアなど投資移民制度を確立した国は、状況に合わせて最低投資額を上げるなど能動的な政策を採る。シンガポールも中国人の相次ぐ流入を背景に、今年4月に不動産購入のハードルを引き上げた。外国人が不動産を買う際に適用される印紙税の税率が、従来の2倍の60%とされたのだ。今のところ、日本にはそうした動きは見られない。
人口減少や財政難の日本にとって、中国人「新移民」の到来は状況を改善させるための一助となる可能性がある。ただ、日本の保守派からは中国共産党員の日本の政治への干渉を懸念する声も聞こえてくる。
「潤」で日本に移住してきた中国人知識人は「投資移民であっても政治的審査はやるべきだ。日本人からの推薦状を要件にするなどの対策が有効ではないか」と語る。
日本社会に溶け込む意識は薄い
いま中国から「潤」してきている人々はこれまでとは一味違う。従来の移住者と違って、日本語を学んで積極的に日本社会に入っていこうという姿勢が希薄なのだ。彼ら彼女は日本人の知らぬ間にすでに独自の生態圏を築きつつある。
都内城東地区のUR在住の中国人男性は、スーパーで買うと野菜は高すぎるので千葉や神奈川などで野菜を栽培する中国人から団体購入することが一般的になっているという。
生活雑貨は中国のECサイトでまとめて廉価に購入し、中国からの発送を待つ。輸送費を含めてもそちらのほうが安いからだ。「知人にスリッパなどの雑貨を深圳で受け取って帰ってきてもらう」こともあるそうだ。
日本が自らの比較優位を活かしつつ、こうした中国人を積極的に受け入れていくのか、それともこれまでの外国人移住者への政策がそうだったように単に放置するのか。いずれにしろ、まずは中国の「新移民」の実態を把握していく姿勢が必須となってきそうだ。
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