近畿日本ツーリスト、コロナ不正の呆れた幕引き 受託事業の6分の1で「不正請求」が発生の実態
しかし、その利益を達成するために現場には、厳しい「ノルマ」が課されていたことが調査報告書で垣間見えた。
「やること、見込み、進捗のお話をいくら立派に並びたてられても私には、ほとんど響きません。重厚なアクションに裏打ちされ結果で勝負するのが箇所長です」。2022年12月に西日本支社副支社長から同支店が管轄する各支店長に送られたメールだ。当月の販売高や売上総利益は「必達」である旨もメールに明記されていたという。
また、東日本副支社長は各支店長に対して2023年3月に「・他の項目で費用削減する・費用がオーバーするのなら売総(売上総利益)もその分超過させる等々で利益を死守するようにしてください」とメールを送付している。なお「利益を死守するようにしてください」については、太字で下線が引かれていたという。
一方で管理体制といえば、2022年9月に開催された西日本支社の支店長会議では「自治体からの事業は税金を使っている意識を強く持ち、変なところで儲けようとしない。利潤については取扱料金など適正に収受してください」と記載されたレジュメが示されたようだ。
近ツーの髙浦社長は引責辞任するが…
しかし2020年10月から2023年3月までの間、近ツーの取締役会や経営会議において、BPO事業受託についての契約の法的性質や委託料の精算のあり方などについて具体的な指示や議論がなされた形跡はない。
調査報告書では、「コンプライアンスを徹底するための方法としては、(中略)抽象的に適正な行為を求めることにとどまり、具体性に欠けて」いると指摘している。
こうした調査報告を受けた結果として、近ツーの髙浦社長は引責辞任し、同社の幹部(退任者を含む)13名が報酬を自主返納する。社員37名が処分(詐欺事件で逮捕された関西法人MICE支店と静岡支店の社員4名の懲戒解職を含む)された。髙浦社長の後任には、近ツーブループラネットの瓜生修一社長が社長に就任する。
対照的だったのが、親会社であるKNT-CTHDの人事だ。米田社長、小山佳延専務、三宅貞行専務の3名が報酬を自主返納するものの、経営体制はそのまま維持される。
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