その背景には、急速に上昇する医学部の入試倍率があるのだろう。正規合格するための倍率が15~20倍という難関入試においては、受験生間で差のつかないような問題では合格者を選別できない。できる者、できない者をばっさりと切り分けるには、問題が難化するのが自然の理である。
不自由すぎる「自由英作文」
医学部入試の英語で顕著なのは、基本となる英単語の難易度が上昇していることのほかに、大学によってはさらにハイレベルな出題がなされている点である。順天堂大学医学部に特有な自由英作文を見てみよう。
人により選ぶテーマは様々であり、書くべき方向性は多々あるだろう。ただ、ここでも重要なことは、書かれるべきテーマが、まず第1に人類史上の発明であること、そして第2に、それが人類に最も大きなインパクトを与えた発明であると、受験生が考えていなければならない。また、選ばれたテーマを日本語で説明できるだけでなく、英語に翻訳できねばならない。
つまり、いかに素晴らしいテーマであろうとも、その発明の意義について、かなりの分量を英文で表現できなければ、そのテーマは取り得ないということになる。
具体例で見てみよう。たとえば以下に示した1から11のテーマなら、英文で長々と書けそうなのはどれだろうか。
1から4は医学部の教授らは喜びそうなテーマかもしれない。しかし、なにせ英文で書くのが難しい。2のmicroscopeはともかく、3のvaccine therapy、4のinoculationなどは、スペルすら書けないかもしれない。そもそも日本語でさえ、それなりの分量を書くのは困難ではないか。
それに比べ5から10のテーマは、日本語で分量を書くことが可能であり、記述するには都合のいいテーマと言えよう。何も格好つけて出題者である医学部の先生方が喜びそうな難しいテーマに挑戦する必要はない。
もちろん、医学英語に精通していればそれはそれで高い評価が得られよう。しかし、高校生・浪人生にそれは重荷であるはずだ。日本語で多くの事柄を表現でき、かつ何行も平易な英語で書くことができるテーマを選択すべきである。中学レベルの英語を使用しつつ、かつ減点されないように文法には慎重になって記述すること。これが合格する子どもの思考法・アプローチである。
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