インスタント麺を「日本一食べる街」の真実 彼の地に広がる不思議であたたかな光景
まずは市民の台所、スーパーマーケットをチェック。カップ麺売り場に行ってみるとなんとその数は200種類以上に上っていた。東京都内の大手スーパー9店舗の平均はおよそ78種類。その差は歴然だ。
「年間365日食べる?!」
レジの様子を観察すると、インスタントラーメンは続々売れて行く。複数個をまとめ買いする人、段ボールごと「箱買い」する人などなど、とにかくたくさん買って帰る人が少なくない。
そんな青森人はどれくらいの頻度でインスタントラーメンを食べているのだろうか。街中を取材しているみと、少ない人でも週4日。多いと1年365日欠かさず食べるという強者もいた。
青森の働くお父さんたちの間では、カップ麺を味噌汁代わりにお弁当と一緒に食べるスタイルがかなり定番になっているようだ。しかもそのカップ麺は自宅から持参するのだという。
家庭ではどうか。全国1位の実力は、伊達じゃない。青森のある家庭を訪ねてみると、買いだめしたインスタントラーメンが、かなり大きめのケースにびっしりと詰め込まれていた。その数はなんと80食以上。家族4人で3食すべて食べても1週間はもつ量だ。
それにしても青森の人はなぜそんなにインスタントラーメンが好きなのか。
聞き込みしていく中で、有力な証言を得ることができた。
「冬が来ると家から出たくない。嵐になるから」
寒い青森では、雪が降りしきるような冬の厳しい寒さの中で外に出られない時に備えて、インスタントラーメンがとても重宝するのだ。もともと、塩分の強い保存食を好む土地柄がある。青森には有名な漬物がたくさんあり、食塩消費量で青森は全国2位だ。都道府県別で見ると外食に使うおカネが最も少ない(総務省『家計調査2012年』)のをはじめ、青森人には出不精が多い。
そんな青森人を狙ってか、現地では珍しいサービスがある。たとえば、カー用品店ではタイヤを買うとカップ麺が付いてくる。献血のお礼もカップラーメン。全国にチェーン展開するビジネスホテルに泊まると、カップラーメンがもらえる。
青森の人気ラーメン店に入ってみると、目を疑うような光景が広がっていた。壁一面に貼られていたのは、カップ麺のふた。なんでもオーナー自身が味の研究のため、たくさんのインスタント麺を試食し、記念にそのふたを壁に貼っていたら一面が覆われるほどになった。
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