やっぱり今は金融危機への「黄信号」が灯っている ハーバード大学の「バブル研究第一人者」が警告

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伝統的な現代ファイナンス理論では、代表的なノーベル賞経済学者でシカゴ大学のユージン・ファーマ教授が「バブルは存在しない」と言い放つ。

彼だけでなく、正統派とこれまで呼ばれてきた経済学者たちの考え方は、①バブルは存在しない、②存在するとしても例外的であり考慮する必要がない、③バブルが存在し現実に大きな影響を与えるとしても、事前に予想・判断することはできないから、経済学者も政策担当者もバブルは崩壊後、事後的に処理するしかない、のいずれかに整理できる。

つまり、①~③の順にバブルの存在の認め方に濃淡(ここでは「淡濃」だが)はあるものの、いずれの見方においても「バブルなんてものは学問や政策のターゲットの外だ」と捉えている。

バブルは明らかに存在、大幅上昇後の株価は暴落

これに、グリーンウッド教授らは異を唱える(バブルを研究している行動ファイナンスの学者はほぼ全員そうだが)。例えば「バブルは事前に予測できる」ということを示したのが、「ファーマに捧げるバブル」(“Bubbles for Fama”)という2019年の論文である。

1926年から2014年のアメリカにおける産業ごとの株価のリターンを見たときに、2年で倍以上になった場合、その後の2年でどうなったか見てみると、約半数以上の場合で、クラッシュ(40%以上の下落)が起きていることを示した。

2倍あがって40%落ちるとは株価は上がったままではないか、と思うかもしれないが、1万円だった株価が2万円になって、その後1万2000円になるということである。しかし、これはクラッシュの定義をそう設けただけで実際には、そのクラッシュの場合の平均下落率は53%である。

つまりトータルで下がっている、ということである。クラッシュしなかった場合も含めたすべてのケースの平均をとっても、その後の2年で10%下落している。そして、下落のピークをとると、クラッシュした場合はマイナス60%であり、クラッシュしなかった場合も含めた全体でも40%下落している。

要は、どう見てもバブルは存在するし、大きく株価が上がった場合は暴落することが多いのである。さらに、クラッシュした場合ではどんな特徴があったか統計的に分析すると、ボラティリティー(変動率)の上昇率が高く、新株発行額が多く、時価簿価比率が割高で、そして加速度が大きい(価格の上昇率が加速している)ことがわかった。つまり、このような特徴が見られる株価の大幅上昇では、その後クラッシュが起こる可能性が高いと予測できるのである。

私の解釈を加えれば、これは明らかに世の中にバブルは存在するし、そしてそのバブルは予測できる。さらに、バブルが膨張しているときに、それがバブルだと崩壊する前からわかっているのである。

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