グリーンウッド教授らは「われわれがバブルの特徴を発見したのではない。それはこれまでの多くの研究者が指摘してきたことであり、われわれは、それらを客観的なデータで、現代の統計的手法で、歴史的事実を分析し示しただけである」と述べている。
すなわち、ファーマ教授をはじめとする現代ファイナンスの研究者たちは、自分たちの主張である「金融市場は効率的であり、合理的だ」ということを説いて回り、これまでバブルがあるとか予測できるといっている人々の主張には根拠がないと自慢げに主張してきた。
だが、それは間違いであり、古くからバブルを研究してきた多くの研究者たち(経済史家のチャールズ・キンドルバーガー氏や、ファーマ教授と同じ年にノーベル経済学賞を取ったイェール大学のロバート・シラー教授など)の主張がやはり正しい、ということを示したのである。
グリーンウッド教授は、この研究の示唆として、ビットコインの例もこれによく当てはまると述べている。取引量が急増し、ボラテリティーも上昇。なんといっても新規発行ラッシュで、さらに価格上昇の加速度もぴったりだと。私に言わせれば、テスラ株も当てはまるかもしれない。
バブルになっても、価格は平均でさらに5カ月上昇
ただ、その一方で、グリーンウッド教授らは、バブル崩壊のタイミングを予測することは難しいことにも注意を喚起している。彼らが「バブルが起きている」、つまり前出のように2年で2倍以上上昇した後、実際にクラッシュが起きた場合でさえも、バブル認定から平均して5カ月はさらに上昇を続けることがデータから示されているからだ。
これが、現実の株式投資におけるバブルの扱いに悩むところである。バブルであることはわかるが、売るべきか最後にもう一山儲けておくか。ただ、私を含め多くの個人投資家(プロの運用者も)が感じている現実は、グリーンウッド教授らの統計的分析でも、ある意味、裏付けられているのである。
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