やっぱり今は金融危機への「黄信号」が灯っている ハーバード大学の「バブル研究第一人者」が警告

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(その2:中期)

札幌競馬場と門別競馬場の中間点に、JRAの第3のトレーニングセンターを開設する。夏季には多くのJRA競走馬がこのトレセンを利用し、札幌競馬、函館競馬への出走頭数を増やす(レースも増えるので)。同時に、NARにも部分開放を行い、門別競馬でのJRAとの共同開催レースを増やし、多くのNAR所属の馬もこの施設を使えるようにする。

例えば今年4月、京都競馬場は豪華スタンドを中心に改装が完了して再開したが、今や、そんなことにカネをかけている時代ではない。JRAの競馬は世界でも圧倒的に大成功したすばらしいビジネスモデルだ。それは豪華スタンドをはじめ、一般の競馬ファンを増やし、競馬イメージの向上につながったが、もう十分だ。

これからは、カネはすべて馬のために使う。酷暑を避けるため、多くの馬が北海道でトレーニングできるようにする。それは、中小の馬主、相対的に弱い厩舎にとっても、使いやすい施設を北海道に設ける。

実はこのたび、JRAの矢作芳人調教師プロデュースの新牧場である北海道の「真狩サマーステーブル」がオープンしたが、趣旨は重なる部分がある。真狩村に位置する同牧場は、夏の北海道シリーズ開催中は函館競馬場からの輸送の中継地点として馬、厩舎スタッフが利用。非開催時にはコテージを宿泊施設として、観光客へ貸し出す予定となっているとのことである。

これをもっと大々的に、日本の競馬界の発展、そして何より馬のために、施設を拡大するのだ。社台グループなどの外厩をふんだんに使えない馬主や厩舎に対する大きな支援を通じて、馬のためになる。

(その3:長期)

JRAとNARの部分的統合を、ホッカイドウ競馬から始める。これはかなり難しいだろうが、最重要である。現在、地方競馬はネット投票の普及などで少し盛り返しているが、さらにこれ以上大きく伸びることは期待できない。大人気となった馬娘ブームも消えつつある。ここで、発展の基礎を作っておく必要がある。

実際、今進展中の「ダート競争体系を整備する」というJRAの方針はすばらしい。この統合プランは、それをさらに発展させるものだ。ならば、JRAがスポンサーとなるだけでなく、全面的な共同開催として、NARのダート競走をより魅力的なものへと発展させる必要がある。

現状では、どんなにすばらしいダートレースを地方競馬のトラックで行っても、現状では「Jpn1」という日本限定のローカルGIレースにすぎず、国際的にはGIと認定されない。日本のダートで活躍した馬、その子供たちを世界に売っていくためには、現在の地方競馬のJpn1を国際G1にする必要がある。

そのためには、やはりJRAとNARの一体運営が必要だ。議論が長くなるので今回はここでやめるが、関係者の英断を期待したい。

札幌記念は「教え子の牧場生産馬」で勝負

この20日は、まさにその札幌記念(G2)が行われる(札幌競馬場のメインレース、芝コース、距離2000メートル)。

まさにG1に格上げしてもよいほどのメンバーがそろった。私は、教え子の牧場である、クラウン日高牧場の生産馬、ジャックドール。秋に開催されるG1をもう1つとるためにも、ここは必勝。

ついでに、同じ日の9Rの特別競走、大通公園特別は、教え子の経営する一口馬主クラブ、グリーンファームのミラクルティアラ。2頭の勝利を期待したい。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

小幡 績 慶應義塾大学大学院教授

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おばた せき / Seki Obata

株主総会やメディアでも積極的に発言する行動派経済学者。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。1992年東京大学経済学部首席卒業、大蔵省(現・財務省)入省、1999年退職。2001~2003年一橋大学経済研究所専任講師。2003年慶應大学大学院経営管理研究学科(慶應義塾大学ビジネススクール)准教授、2023年教授。2001年ハーバード大学経済学博士(Ph.D.)。著書に『アフターバブル』(東洋経済新報社)、『GPIF 世界最大の機関投資家』(同)、『すべての経済はバブルに通じる』(光文社新書)、『ネット株の心理学』(MYCOM新書)、『株式投資 最強のサバイバル理論』(共著、洋泉社)などがある。

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