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やっぱり今は金融危機への「黄信号」が灯っている ハーバード大学の「バブル研究第一人者」が警告

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  • 小幡 績 慶応義塾大学大学院教授
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そこで、冒頭の話に戻る。では、現在のアメリカや日本はレッドゾーンに入っているのか。答えは「レッドゾーンには入っていない。その手前である。いわばイエローゾーンであるということが、この研究からの示唆である」と、グリーンウッド教授は質問に答えたのである。

グリーンウッド教授はイエローでも、実はレッド?

ここからは、私の解釈も交えた説明である。なぜレッドゾーンに入らないかというと、リーマンショック後、とくにアメリカや欧州では銀行融資に対する規制が強化され、銀行融資が膨張しにくい環境になっているからである。

リーマンショック時には、いわゆるサブプライムやそれ以外の「リスクテイクバブル」(これは私の造語だが)で見られたように、シャドーバンキング(影の銀行、伝統的な銀行を介さない金融取引)という当局の監視外の分野が広がり、そこでマネーが膨張した。それが世界的な金融危機という結末となったのである。

では、今はどうか。民間セクターの融資の膨張には歯止めがかかっている。その代わり、いやそれ以上に、いや制限なく、公的部門でマネーが膨張しているのである。リーマンショックの処理を肩代わりした世界中での量的緩和および政府の財政出動により、マネーは世界にあふれ、そのリスクをすべて公的部門が引き受けた。しかも、コロナショックでそれは再度大膨張した。

グリーンウッド教授らの分析からは枠外となってしまうが、これら公的部門のマネーの膨張も、融資の膨張と同じ意味を経済や金融市場にもたらすと考えられないだろうか。もしそうだとすれば、イエローゾーンではなく、レッドもレッド、まっかっかな赤信号なのではないか(これは120%私の考えで、グリーンウッド教授の見方とは無関係である)。

この場合、消防士のはずの当局が、すでに「レッドカード」を出されているにもかかわらず、その消防士がリーマンショックで民間が自滅して凍りついた金融市場に自ら火をつけて回り、その後、コロナショックで火にさらに油を注いだ状態となっているおそれがある。

この表現が大げさすぎるとしても、今は消防署自体が火事になっていて、火消しをする能力のある主体が存在しないということは動かしがたい事実である。

こういう場合、地球上では、山火事は燃えるものがなくなるまで森が燃え尽きるのを待つしかない。人類の金融市場や経済もそうなるのだろうか。

(本編はここで終了です。この後は競馬好きの筆者が競馬論などを語るコーナーです。あらかじめご了承ください)

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【さて競馬界では一大事件。オバタ流「北海道発展政策」とは?】

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