同日に公表された2つの統計はまちまちな結果となったが、言うまでもなく、主観的なアンケート調査など「ソフトデータ」である景気ウォッチャー調査より、実際の経済活動の結果を集計した「ハードデータ」である家計調査や人流データのほうが正しいだろう。
このところ景気ウォッチャー調査と実質消費支出は乖離している。
2つの統計の乖離の理由として考えられるのは、企業サイドの調査である景気ウォッチャー調査には「インバウンド消費」の影響が含まれる一方、日本の家計に対する調査である家計調査にはこれが含まれない点が挙げられる。
また、企業サイドが「貨幣錯覚」に陥っている可能性もある。
6月の実質消費支出は前年同月比マイナス4.2%だったが、名目消費支出は同マイナス0.5%にとどまっている。インフレ高進の影響で名目消費支出はそれほど減っていない。
総じて、筆者は日本の内需に対する「期待」が高すぎると感じている。いずれかのタイミングで実質消費は弱含んでいることなどを背景に、日本の成長見通しやインフレ見通しが想定より弱いことになるという話題が注目されるだろう。
「猛暑」は消費にプラスか
2023年の夏の消費について、「猛暑」が日本経済にプラスかどうかという議論がある。気象庁によると7月の平均気温(東京と大阪の単純平均値)は28.8℃となり、強烈な「猛暑」だった2018年の28.9℃に迫った。なお、2018年は「災害級の暑さ」という語が同年の新語・流行語大賞トップテンに選出されているほどの猛暑だった。
7月の景気ウォッチャー調査でも「猛暑」「暑い」といった単語を含むコメントが多かった。
関連コメント数比率(現状)は2018年7月の24.5%には及ばなかったが、2023年7月も10.2%まで上昇した。
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