日銀が1月9日に発表した2023年7~9月期の需給ギャップでは、推計値がマイナス0.37%となった。4~6月期からマイナス幅が拡大し、これで14四半期連続のマイナスとなった。
需給ギャップがマイナスであることは、「総需要」が「総供給」を下回っていることを示しており、「インフレ圧力が強くない」ことが示唆される。
需給ギャップとは「一国全体の財・サービス市場において、『総需要(実際のGDP)』が、景気循環の影響をならしてみた『平均的な供給力(潜在GDP)』からどの程度乖離しているかを示す指標」 (日銀)である。
「日銀短観では人手不足なのに」と疑問視する前に
一般に需給ギャップの推計は2つの方法がある。内閣府は、潜在GDPを推計したうえで実際のGDPとの乖離を需給ギャップとする方法を採用する。一方、日銀は、労働投入ギャップと資本投入ギャップから需給ギャップを計算する方法を採用している。
資本投入ギャップは生産要素の稼働状況(いわゆる設備稼働率)など、労働投入ギャップは労働力人口や総労働時間などを基にそれぞれ推計される。2023年7~9月期の労働投入ギャップは3四半期連続のプラス(0.16%、需要超)となったが、4~6月期(0.20%)からはプラス幅が縮小している。
日本経済新聞は1月9日、「需給ギャップ、プラス目前で足踏み 日銀推計に誤差?」というタイトルの記事を配信した。
記事中で「労働ギャップは18〜19年ごろは0.8%前後で、現在よりも高かった。日銀の全国企業短期経済観測調査(短観)の雇用人員判断指数(全規模全産業)でみると、当時のピークと現在の人手不足感は同水準で、数字の辻つまがあわなくなっている」と指摘した。
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