WBC栗山監督、不振の村上を使い続けた「熱い理由」 ビジネスにも生かせる「チームビルディング」の要点
指導者のスタンスとは、どんな内容であれ、「意見を言ってくれてありがとう」です。5人の参加者がいたとして、5人それぞれの考え方、アイデアは違います。そして、みんなで議論しながら答えを見つけ出していくのですから、どんな意見でも、「誰も考えていなかった発想を出してくれてありがとう」と感謝するものです。
「いいね。あー、そうなんだ。そんなこと考えたこともなかった」
「そういう考え方もあるかもしれないよね」
「まったく違う見方で面白いな」
手を叩いて相手の意見を聞くような場なら、全員の考えをテーブルの上に乗せられるのに、多くの会議ではテーブルに乗せた途端に「それはダメ!」と外されてしまいます。誰だって自分の意見が外されるんだったら、乗せないほうがいいと考えます。
まずは全員の意見をテーブルの上に乗せる。そこから「今日は何がいちばんいいかな? 何からやっていく?」と、みんなで決めていく。取捨選択していくわけですが、乗せてくれた意見はすべて財産でしかありません。
栗山監督「村上選手は必ず大事な場面で大仕事をする」
今回のWBCでも、打撃不振だった村上宗隆選手を外す話が出ました。栗山監督は「言いづらいことだったと思うけど、正直に言ってくれてありがとう。チームのことを考えてくれてありがとう」とコーチ陣に感謝の言葉を述べました。
言ってくれたことに感謝されたら、意見した側は救われます。そのうえで栗山監督はこんなふうに答えました。
「去年三冠王を取った選手が、代表チームのなかで苦しむことが真の成長になるんだ。ほかではこんな苦しみはないんだから、彼には大いに苦しんで乗り越えてほしい。彼が成長するためには、ここを乗り越えることが必要なんだ。長い目で見たときの彼の成長だけじゃない。必ず大事な場面で彼は大仕事をするんだ。だから、使わせてくれ」
ここまで言われたら、コーチからすれば「監督に任せましょう」となるわけです。もし、あの場面で「おれが決めることなんだから、余計なことを言うな」というコミュニケーションを取られたら、コーチ陣はその後、みんなで口を閉ざしたでしょう。
これは会社の報連相も同じです。
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