WBC栗山監督「挫折の多い人生」支えた言葉の正体 WBCで侍ジャパンを率いた栗山監督の"哲学"

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栗山英樹氏(撮影:今井康一)
WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で日本を3大会ぶりの優勝に導いた栗山英樹監督。小学生の頃から書き続けている「野球ノート」があり、気になった言葉をその都度書きとめてきました。日本ハム監督時代に書籍としてまとめた『栗山ノート』より一部抜粋してお届けします。

大谷翔平の突破力

人生二度なし

森信三先生が残した有名な言葉です。

明治から平成を駆け抜けたその人生は、逆境の連続だったと言われています。ご両親が離婚をされたり、就職先が見つからなかったり、多額の借金を背負ったり。愛する子どもに先立たれるという、あまりに悲しい経験もされています。

人生に絶望してもおかしくないなかで、森先生は「人生二度なし」の信条を追求していきます。たった一度の人生なのだから一瞬、一瞬に生きる情熱を燃やさなければいけない、と考えたそうです。度重なる逆境をはねのけていった原動力は、「どうも人間というのはどこかで阻まれていないと、その人の真の力量は出ないようです」という思いだったのかもしれません。

私の身近にも、逞しい突破力を発揮する男がいます。

大谷翔平です。

身体能力に恵まれ、高校野球の強豪校からファイターズへ入団し、ポスティングシステムでメジャーリーグへ旅立っていった。

ロサンゼルス・エンゼルスの一員としてメジャーリーグ初打席で初ヒットを記録し、ピッチャーとしても初登板初勝利をあげた。メジャー初ホームランは、本拠地での第1打席だった。

メジャーでも二刀流を貫き、新人王に選ばれた。これまでの歩みのどこを切り取っても、順風満帆と言っていい野球人生です。

しかし、華々しいトピックの間で、翔平は苦しみを味わっています。メジャー1年目の2018年シーズンには右ひじの手術を受け、2019年シーズンはバッターに専念することになりました。

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