「10年求婚し続けた男」を最後に選んだ彼女の発見 「毎月のように通い続けてくれたお客」と再会し…

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「私は恋愛体質で、若い頃から結婚願望が強かったんです。いわゆる尽くすタイプで、一度好きになると自分が見えなくなってしまいます。周りから『やめておいたほうがいい』と言われても耳に入らなくなるんです。相手がどんなクズでもヒモでも……」

色白の顔に愛嬌たっぷりの笑顔を浮かべながらどんどん話してくれる雅恵さん。「クズ」「ヒモ」といった激しい単語がちょっと気になるが、かなり過酷な家庭環境で育ったようだ。

「両親の仲はよかったのですがどちらもギャンブル依存症。母は朝からパチンコに行ってしまうので、私が子どもの頃から妹と弟に料理を作って食べさせていました。食費もほとんどないほど貧しくて、中学校を卒業してからは働きながら専門学校に通い、理容師になりました」

もともと愛情豊かな雅恵さん。幼いきょうだいの世話を通じて、「誰かに何かしてあげて喜んでもらうのが嬉しい」傾向が強まっていた。美質ではあるが、自己犠牲を伴いすぎるものだと依存症となりかねない。

22歳のときには理容室を辞めてしまい、心の穴を埋めるかのように飲み歩いていたという雅恵さん。お金はどうしていたのだろうか。筆者の疑問を雅恵さんはすぐに察知し、健太さんに「話していいかな?」と相談した。

夫は毎月のように通い続けてくれたお客さん

「実は、長いことソープランドで働いていたんです。夫は毎月のように通い続けてくれたお客さんです」

筆者はこの連載を9年間も続けているが、雅恵さんと健太さんのような出会い方をしたケースは初めてだ。まるで江戸時代の遊郭で花魁に惚れた客のようなストーリーである。

しかし、2人が結婚するまでには10年という歳月が流れている。雅恵さんには2歳年上の「彼氏」がいたからだ。

「風俗仲間の友だちの結婚式で飲み過ぎて吐いてしまったら介抱してくれたのが彼です。竹野内豊似の超イケメンで、バーを経営していると聞きました。女性の扱い方がすごく上手なので、すぐに好きになってしまったんです」

しかし、その彼はなぜか自宅も店も教えてくれない。16年もつき合っていたが、雅恵さんと会うのは2カ月に1度程度。後からわかったことだが、自宅には同棲中の恋人がいて、経営しているのはバーではなくホストクラブだったのだ。

「私が結婚や子どもの願望を口にしても鼻で笑うような人でした。いい加減に愛想が尽きて別れ話をしているときに私がコロナにかかって入院することに。家から着替えを持ってきてくれるように頼んだら、銀行通帳を盗まれてしまいました」

その金額はなんと800万円。明白な犯罪であるが、コロナの後遺症で1年間も倦怠感が抜けずに自殺願望まで高まっていたという雅恵さんには訴える余力はなかった。

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