先行きは明るい? 肉体派向けソーラーパネル設置業務
カリフォルニア郊外の高校を、非常に低い成績でようやく卒業したマーカス。出来の悪い彼に、先輩が紹介してくれた仕事は肉体労働。だが、実入りのよいソーラーパネル設置の仕事で、経験が浅くても1時間15ドル以上かつ、健康保険や傷害保険もついている(カリフォルニアの最低賃金は1時間約8ドル)。「卒業後、何になりたいかわからなかったけれど、今はこの仕事でやっていこうと頑張っている」と、彼は言う。
勉強嫌いだったマーカスだが、現在は近くのコミュニティカレッジ(米国各地域にある短大)で、ソーラーパネル設置の講座を取ることを考えている。少しでも知識や資格を持つだけで、現場での給与が上がっていくからだ。また、コミュニティカレッジでソーラーパネル設置を学べば、単位がもらえることもある。単位があれば、さらに給与が上がる可能性がある。
ソーラー設置だけの仕事だと、保険もついておおむね1時間15ドルから35ドル。会社はソーラーを設置する顧客から、使用者1人につき1時間40ドルから55ドルを請求しているケースが多いようだ。
半導体からソーラーパネルへ転業
カリフォルニア、アリゾナなど天候のよい西海岸では、ソーラー産業に勢いがある。シリコンバレーでは半導体の原料である結晶シリコンが太陽電池にも使われるため、転業するベンチャー企業も多い。地球温暖化への懸念と福島原発の影響からか、米企業のソーラー事業が活発化している。
米国のソーラー企業大手にはカリフォルニア州サンノゼのサンパワー、アリゾナ州本社のファーストソーラー、カリフォルニア州サンタクララのミアソールなどがある。米政府の税制面、融資面での後押しがソーラー産業の成長に寄与している。米エネルギー省がモハベ砂漠で、米国とドイツの合弁企業ソーラートラストのソーラープロジェクトに21億ドルの融資を決定した。30万戸に電力を提供できるからだ。