物流コンテナ、実は「中国が製造シェア98%」のなぜ 生産拠点となるためには3つの条件がある
中国沿海部での人件費が上昇していること、ベトナムなど東南アジアに製造業の拠点がシフトしつつあることに加え、これらの地域に製鉄業が拡大していることを踏まえると、今後新造コンテナの生産拠点も中国からシフトしていく可能性は高いといえます。
世界にはどのようなコンテナ航路があるのでしょうか。次の図表では、2021年の世界のコンテナ荷動き量を示しました。この図によると、世界全体のコンテナ貨物輸送量は1.8億TEUにのぼります。ただし、コンテナ貨物量をすべて実測したデータは存在しないため、この数値は推計値であり、発表機関によって1.5億TEUから2億TEUの間で異なっています。
主な航路としては、アジア・北米間を往復する北米航路、アジア・欧州間を往復する欧州航路があり、これらは二大基幹航路と呼ばれています。北米航路は年間3000万TEU弱、欧州航路は2000万TEU強の輸送量であり、この二航路だけで世界全体の3分の1近くを占めるほど大きなシェアの航路です。
これら航路は荷物量が多いことに加え、距離も長いため、運賃収入が大きく、大手海運企業はこれら航路を収入の柱として重視しています。アメリカ行き、欧州行きの貨物量のほうが多いため、運賃もアメリカ行き、欧州行きがアジア行きの倍以上の値を付けます。
北米往航、欧州往航の貨物量と運賃がバロメーター
また、コンテナ輸送では、アジアからアメリカ行き(北米往航)、欧州行き(欧州往航)の貨物量と運賃の状況が世界のコンテナ市場の状況を示すバロメーターとなっています。
北米往航、欧州往航いずれの航路でもアジアで生産された消費財や中間財が欧米に向かって運ばれています。アジア側の輸出国で圧倒的な存在は中国で、北米向けの航路でも欧州向けの航路でも輸出量で約3分の2のシェアを占めています。次いで貨物が多い国として韓国やベトナムが挙げられ、さらにタイやインドが続き、その次が日本です。
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