物流コンテナ、実は「中国が製造シェア98%」のなぜ 生産拠点となるためには3つの条件がある
新造コンテナの生産拠点となるための条件は、①人件費が低いことに加え、②一定規模以上の製鉄業が立地していること、③貨物の輸出拠点に近いことが挙げられます。2つ目の条件は、材料となる鉄鋼製品をすぐに調達できることが理由です。3つ目の条件は、製造したコンテナをすぐ輸出荷主に提供でき、調達が効率的に行えるためです。
1970年代の日本はアジア地域内で工業製品の輸出国として大きなシェアを占めていましたし、現在の中国は世界でも有数の製造業の拠点を有する、世界一のコンテナ貨物輸出国です。いずれも、製造したコンテナをすぐに納入でき、新造コンテナの生産拠点としての条件に適う地域だったということです。
現在のコンテナ製造業者は、中国招商局集団の傘下にあるCIMC(中国国際コンテナ)グループがトップシェアを占めているほか、コスコグループのShanghai Universal Logistics Equipment(上海寰宇物流装备有限公司)もコンテナの製造を行っています。
ほかにもシンガマス、CXICなどの中国系企業が主要メーカーとして挙げられます。さらにデンマークの海運会社マースクの傘下にあるMCI(マースク・コンテナ・インダストリー)がドライコンテナ製造で有名であるほか、日本のダイキンもリーファーコンテナの冷蔵冷凍ユニットで有名です。
中国系以外の企業もコンテナを中国で製造
現在は、中国系以外の企業もコンテナ製造を中国で行うことが一般的です(ちなみに、JR貨物のコンテナも多くが中国で製造されています)。
直近では世界のコンテナ製造のうち、約85%がCIMC、Shanghai Universal Logistics Equipment、シンガマス、CXICの4大グループで製造されていますが、その他、4大グループ以外も含めると中国国内での生産は97.3%(2019年)を占めています。
ただし、今後は中国から生産拠点が移っていく可能性もあります。2020年初頭に中国で新型コロナウイルスの感染が拡大して、コンテナ生産工場の稼働が停止したことが世界的なコンテナ不足からの回復を遅くしました。これを受けて、現在ではベトナムやインド、韓国でコンテナ生産を行うことも検討されているのです。
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