物流コンテナ、実は「中国が製造シェア98%」のなぜ 生産拠点となるためには3つの条件がある

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コンテナ化が始まってから1980年代まで、これらの航路で日本は圧倒的な地位を占めてきましたが、NIES諸国や中国の台頭、東南アジア諸国の経済成長という段階を経て現在にいたります。

船舶の大型化は滝のように順々に進行する

また、北米航路と欧州航路では行きの航路(メインホール)と帰りの航路(バックホール)の間で貨物輸送量の差(インバランス)が大きく、それを埋めるために大量の空コンテナが回送されています。

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ほとんどのアジア諸国は輸出貨物量のほうが多く、空コンテナが輸送されてきますが、日本はアジア地域の中で唯一輸入貨物量のほうが多い国です。

ちなみに、船舶の大型化は「カスケーディング」と呼ばれる方式で進み、大型船ほど基幹航路から導入が進むことが知られています。最新の大型船が竣工するとまずはアジア・欧州間の欧州航路で用いられます。

それまで欧州航路で用いられていた船舶が北米西岸航路や大西洋航路(北米・欧州間航路)に転用され、さらにこれら航路で用いられていた船舶がアジア域内航路や南米航路などに転配されます。

すなわち、基幹航路への大型コンテナ船導入後、船舶の大型化が階段状に続く滝(カスケード)のように順々に進行します。このように船舶の大型化は特定航路だけでなく、世界全体の航路に影響を与えていくわけです。

松田 琢磨 拓殖大学商学部 国際ビジネス学科教授

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まつだ・たくま / Takuma Matsuda

筑波大学第三学群社会工学類卒業、東京工業大学大学院理工学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(学術)(東京工業大学)。専門分野は海運経済学、物流(国際・国内)。コンテナ輸送、市場と業界の動向、国内雑貨輸送に関して調査・研究を進めている。共著書として『新国際物流論 基礎からDXまで』(平田燕奈・渡部大輔との共著、晃洋書房)『日の丸コンテナ会社ONEはなぜ成功したのか?』(幡野武彦との共著、日経BP)、著書に『コンテナから読む世界経済』(KADOKAWA)がある。

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