100万再生連発「ホラーYouTube」意外な収入事情 地番確認、手紙、交渉…「ゾゾゾ」運営の裏側

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写真:ゾゾゾ提供

地番とは、土地一筆ごとに振り分けられた番号のことだ。法務局が定めた住所で、登記が必要な住所のみにつけられている。

「地番って現地の役所に行かないと分からないんですよ。役所に行って、地図と照らし合わせて番号を確認する。それで地番のデータを印刷してもらって帰ります」

インターネットの登記簿を調べるサイトでは、地番を入力すると、持ち主の名前と住所が出てくる。電話番号は出てこないから、廃墟の住所宛てに、手紙を送る。

「ただ、それでもほとんどの場合は返信がないです。返信の確率はかなり低いです。返信をいただけた場合は、改めて交渉をして撮影をさせていただきます」

『ゾゾゾ』のディレクター・皆口大地さん(筆者撮影)

ホラーだけど、みんなが笑顔になれる番組を

交渉するのにコツはあるのだろうか?

「物件の規模に応じて撮影料を払っています。もちろん、そのお金は動画の収益から払っています。地方の収録の場合、スタッフの運賃や宿泊費も、動画の収益から払いますから、赤字とは言わなくてもあまり儲かっていないですね。

ただ自分は『みんなに見てもらって、撮影も楽しいんだから、儲からなくてもいいじゃない』ってずっと思ってますし、これは本心で、これからも変わりません。ただ、もちろんお金を払ってるのは会社ですから、落合さんはずっと渋い顔をしてますけど(笑)」

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きちんと交渉し、返信があったら撮影料を支払って撮影する。地方の場合もある。どうしても、時間もお金もかかってしまう。自営業に近い、小規模な会社組織だからこそなせるチャンネルなのかもしれない。

最後にゾゾゾのこれからをお聞きした。

「なんかホラー番組を作ってる人間が言うのもちょっとおかしいんですけど、メンバーや観ていただく視聴者の人たちみんなが笑顔になれる番組として、ずっとあり続けたいなと思ってます。10年先、20年先もやっていたいなという展望もあります。たとえペースダウンしても終止符は打ちたくない。もちろん、心霊スポットが尽きたらゴールですけど、新しい心霊スポットは次々に生まれてくると思うので終われないですよね」

そう言うと、皆口さんは少年のように笑った。

☆本記事は前後編の後編です。チャンネル誕生の背景を伺った、前編の記事はこちら

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村田 らむ ライター、漫画家、カメラマン、イラストレーター

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むらた らむ / Ramu Murata

1972年生まれ。キャリアは20年超。ホームレスやゴミ屋敷、新興宗教組織、富士の樹海などへの潜入取材を得意としている。著書に『ホームレス大博覧会』(鹿砦社)、『ホームレス大図鑑』(竹書房)など。

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