コールセンターでの電話を取る仕事や、ウェブデザインの仕事をするなかで、ある日、皆口さんがエレベーターに乗っていると、上司に「皆口くん、なんかいいアイデアない? やりたいこととかさ」と話しかけられた。
「パッと思いついたのが、心霊スポットを食べログみたいに網羅してるサイトでした。面白いと思ったし、そんな事業があるのなら携わりたいとも思いました」
ただ上司はいい顔をしなかった。「スポンサーはどうするの? 運営代はどう捻出するの? いつ、どこでペイできるの?」などやたらと詰めてきた。
「いや、今考えた企画で、そこまで分からないですけど……って。これが入社して半年くらいの出来事だったんですけど、腹が立ったというか、すごい自分の中で根に持ちました。これが、ゾゾゾの始まりの1です」
それから随分経った頃、落合さんが傷心モードになっていた。
聞けば、仲良しの社長に頼まれてゲーム実況のYouTubeに出ることになったらしい。しかし、撮影している時から手応えがなく、後日編集されたのを見てもやっぱり面白くなかったという。これで企画をスタートしても上手くいかないのは目に見えていたから、
「この話はなかったことにしてください」
と断ったという。
「『自分だったら落合さんのこと、もっと上手く使えますよ』って言いました。もちろん慰めるためですけど、でも本音でそう思っていた部分もありました。落合さんがタレント性が高いのは、分かってましたから。これが、ゾゾゾの始まりの2ですね」
食べログなどのサイトは、オープンして初めて広告がつく。
心霊スポットのサイトを開くまでには、何百件も取材しなければならない。水面下で進めていくお金もマンパワーもない。
「『だったら心霊スポットを収集する過程を番組にしよう』と思ったんです。YouTubeの番組にすれば何百件でも面白く紹介できるんじゃないか?と。メインパーソナリティーは迷わず、落合さんに決めました。それで、平日の仕事終わりに落合さんを石神井公園に呼び出しました」
いつ「打ち切りにしよう」と言われるか不安だった
2018年、落合さんと2人で夜の石神井公園を散策する『都心の心霊スポット!石神井公園が不気味すぎてヤバい!』という動画を撮った。
「正直そこまで手応えはなかったですね。帰り道2人で反省会をして。
『声が出てなくてごめん』『編集で面白くするので、暗い気持ちになるのやめましょう』
とか話しました。動画編集も経験なかったですが、下手なフリーソフトを使って後々使えなくなるのも嫌だったので、アドビのプレミアプロを使いました。一生懸命テロップの入れ方とか勉強しながら、編集しました」
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