新聞の敵は「NHKのネットではない」と断言できる 「ニュースはネットでタダで読める」からの脱却
さらに言えば、長らく紙の新聞を取ってきた私だが、毎日みるみる新聞紙が資源ごみと化すのを悩ましく思っている。朝刊に載っているニュースはほとんど前の晩にネットで読んでいるので、前ほど紙を読まなくなった。このSDGsのご時世に、届いた途端に資源ごみになる新聞とはいったい何かと疑問に思わざるをえない。
つまり新聞は、購読者が高齢化してしまったうえに、紙の形態が時代に合わなくなっているのだ。NHKのネット必須業務化にいちゃもんをつける暇があったら、自分たちのビジネスモデルの大転換をこそ議論すべきではないのか。私だって新聞にはなくなってほしくない。真っ当なニュースの担い手は、ネットの時代こそ大事になっているのだから。
自分たちのメディアこそ開発すべき
私から日本の新聞業界への提案は、「新聞」というプラットフォームをいますぐ立ち上げることだ。そしていま複数のニュースアプリに記事を提供しているのを一斉にやめる。記者たちが毎日奮闘して集めた記事を、よそのプラットフォームに渡してわずかな収益を得るのではなく、自分たちで作ったプラットフォームに全収益を吸い上げるのだ。経営的にはしばらく厳しいだろうが、耐え抜いた先に新しいビジネスモデルが構築できる。TVerを見ればまとまることの強さはわかるはずだ。
若い人は「ニュースはネットでタダで読める」と思っている。そうしてしまったのはほかならぬ新聞社自身。今からでも切り替えるべきだ。「ニュースは無料で読めます。ネット上の“新聞”で。さらに詳しい記事や解説、特集などはそれぞれのニュースサイトで有料で読めます」。そうすればすべてが解決する、とは言わない。だがそれが第一歩ではないのか。過去に似た試みが失敗したのも知っているが、今はまた状況が違う。もう一度、今回はすべての新聞社に参加してもらってトライすべきだ。新聞協会のメディア開発委員会(各所での発言はこの名義で出される)というなら、自分たちのメディアこそ開発するべきだろう。
そのうえで、「NHKのネット必須業務化、大賛成」と意見を翻し、「ただし一緒にネットの言論空間を安全安心に守るために協力を」と呼びかける。そしてNHKのテキストニュースに必ず各新聞の関連記事、解説記事へのリンクを貼るルールにする。公共メディアであるNHKがこれを断る理由はないだろう。それにNHKも新聞協会の会員社だ。同じ団体の一員として喜んでリンクを貼るはずだ。国民も歓迎し、少しは新聞協会を好きになってくれるかもしれない。
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