やらなきゃいけないとわかっていても、ついつい後回しにしてしまうことは誰にでもある。たとえば電気代や水道料金の支払いだ。口座振替にしていない場合、いざ「払おう」と思ったときにはすでに支払い期限が過ぎていて、後回しにしてしまう。気付いたときには催促の通知が何通も来ていて、もはやどれを払えばいいかも不明になっている。
ある一線を超えてしまうと途方に暮れてしまい、何をすればいいかわからなくなってしまう。ゴミ屋敷になってしまう理由もきっと一緒だ。誰だって少しのキッカケでゴミが溜まり出してしまうかもしれない。
ゴミを出す姿を人に見られるのが恥ずかしい
しかし、依頼者の女性の部屋がゴミ屋敷になってしまったのは、ゴミ出しの時間だけが理由ではなかった。
「ただでさえ夜中に帰ってきているので、部屋で物音立てるのも申しわけなくて」(依頼者の女性)
壁が薄く、隣の住人に迷惑がかかってしまうので片付けをしたくてもなかなかできなかったのだという。依頼時の様子を二見社長が振り返る。
「見積もりで伺ったときも小さな声でコソコソとお話しされていたんです。“隣に人が住んでいるので”と、とにかく音が出ないように気を使っていました。私の感覚からしたらそんなに気にするほどではないんじゃないかなと思いましたが、ゴミ屋敷になってしまう人はこのケースが本当に多いんです」
部屋を見ると、ネットショッピングで届いた段ボールを畳まずに放置していることがわかる。これも隣の住人を気にして畳めなかったのだという。また、女性は「ゴミを出す姿を人に見られるのが恥ずかしい」とも話した。筆者からするとそんなこと考えたこともなかったが、二見社長によれば同じ感覚を持つ女性の依頼者はこれまでにも何人かいたそうだ。
「以前テレビ番組に出演したときも、女性のアナウンサーさんが“ゴミを出している姿をほかの住人に見られたくない”と言っていました。ゴミの中身を漁られるんじゃないか、という気持ちともまた違うみたいです」(二見社長)
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