席巻!TBS「SASUKE」の人気が止まらぬ理由 イギリスで放映開始、他の欧州諸国も関心
フォーマット販売は、制作済みの映像をそのまま販売せず、映像は企画などに使う一部に留まるため、各国ごとの文化に合わせたローカライズが比較的容易だ。また出演者の国籍や言語といった文化的な障壁も少ないことから、日本の放送局から、大きな予算を持つ欧米のテレビ局に対して売り込みやすいという背景もある。
世界的に見ても、日本のテレビが得るスポンサーからの広告収入はトップクラスで、枠あたりの製作費も潤沢。番組のアイディアや制作ノウハウも欧米のテレビ局と比べ豊富に蓄えられていると評判だ。言語・文化の違いもあり高品質と評価されながら、番組映像の輸出は限定的だったこともあり、日本の番組フォーマットへの注目度は高い。
「脳カベ」のように、1コーナー向けのアイディアが、海外では独立した番組としてゴールデンタイムに放送されている(海外向けの名称は『Hole in the Wall』)といった例を考えても、フォーマット企画力は高いといえる。
さて、今年の「Treasure Box Japan」はどこまで盛り上がったか、という話をしたいところだが、ビジネスの成功事例という視点で考えると、まだまだ”これから”のコンテンツばかりだ。一方で、今年もまた近年における日本コンテンツ最大の成功例と言えるTBSの『SASUKE(英名:Ninja Warrior/ニンジャ・ウォリアー)』の、さらなる成功・躍進が際だっていた。
そこには、将来『ポケットモンスター』に匹敵する、テレビ番組の枠を越え複数の事業領域に跨がる大きなフランチャイズに成長していく可能性もある。
英国版SASUKEの初回放送はライバルにダブルスコア
『SASUKE(英名:Ninja Warrior)』については、昨秋のMIPCOMレポートでも説明したように、収録済み番組の販売として大ヒット。昨秋の段階で150を越える国と地域で放送されていたが、現在はこれが165カ国と地域にまで拡大。さらにフォーマットを販売しての現地制作も、大成功を収めている米地上波NBCの『American Ninja Warrior』を筆頭に、マレーシア、シンガポール、ベトナム、スウェーデン、トルコに拡がり、今年4月11日にはイギリスでの放送が開始された。
欧州では米国に次ぐ大きな市場であるイギリスでの放送が注目されたが『Ninja Warrior UK』と名付けられた新番組は、土曜日の7時からというゴールデン枠でももっとも重要なひと枠(この後には『Britain's Got Talent』の放送がある)を担っていたが、速報値で27.30%と、2位となったBBC1の13.30%に対して2倍以上となる大差で、多くの視聴者を惹きつけた。
しかも特徴的だったのがネット上での”バズり”。たとえばツイッタ―では英トレンドトップに番組関連のツイートがランクインした。その数は1時間の放送時間中だけで1万に近く、英国で人気番組と言われるツイートトレンド(おおよそ3000ツイート)に対して3倍の数字になった。
こうした”バズ”には、必ずしもプラスの側面だけがあるわけではない。中には否定的な意見が”バズ”っている場合もあるからだ。
実際、ネットを通しての番組の評判では、『風雲たけし城!』の英国アレンジ版に比べて作り込みが甘いといった指摘や、日米それぞれが屋外で難易度の高いハードルを設定しているのに対し、屋内で完結している上、出演者がまだセットになれていないこともあって難易度が下げられていることへの不満も目立つ。
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