席巻!TBS「SASUKE」の人気が止まらぬ理由 イギリスで放映開始、他の欧州諸国も関心

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しかし、一方で『SASUKE』そのものの仕掛け……いわばフォーマットに対しては、すでに日本版や米国版が海外でも多数放送されていることもあり、充分に理解が浸透している。TBSは『SASUKE』フォーマットで制作された米国版を含む各国版の海外配給権も保有しているため、歴史が長く様々な国で知名度が高い日本版と、世界的にブームを作り出した米国版の番組販売をうまく組み合わせることで、現地制作版との相乗効果を生み出しているようだ。

TBSと電通は現地で提携を発表した(写真:courtesy MIPTV News / 360 Medias)

このムーブメントはMIPTV会場にも伝わっていた。TBSはMIPTVに合わせ、『SASUKE』の北欧を除く欧州でのテレビ権と番組フォーマット販売を委託すると発表。電通は子会社である欧州最大の広告代理店である電通イージス・ネットワークを通じて欧州全土で営業をかけていく。

TBSメディアビジネス局海外事業部で『SASUKE』の海外プロジェクトをまとめてきた杉山真喜人氏は「『SASUKE』のフォーマット販売が急拡大し、単純な番組販売、フォーマット販売だけに留まらず、関連するプロジェクトの提案が数多く持ち込まれたこともあり、テレビ局単独ではなく、他社との提携も模索した」と内情を明かす。

しかし昨年、英国ITVという大手テレビ局と現地制作で合意したことが、ひとつの転機となった。英国で受けるフォーマットは、欧州全体でも人気が出る傾向が強いためという。『SASUKE』の場合は、すでに165カ国と地域まで放送地域が増えているという下地もある。

TBSとしては欧州での番組販売で電通と提携することで、数多くの国に跨がる欧州各国の内情に合わせたマーケティングと販売を行える体制を整えたかったということだろう。さらに初回放送で高視聴率を獲得したことで、商談は大いに盛り上がったようだ。前出の杉山氏は、現地制作プロジェクトが今後何カ国に拡がるかについて「時期尚早」と口を閉ざすが、さらに増えていくことは間違いなさそうだ。

なぜSASUKEは大ヒットしたのか

さて、驚くほど盛り上がっている『SASUKE』だが、世界中で注目を集める同フォーマットの伸びには、番組フォーマットの優秀性や米英の大手テレビ局が自主制作しているといったこととは別の側面もある。

『SASUKE』フォーマットが、今のような大きなヒットになる変節点は過去に4回あったように思う。

最初は米地上波NBCの親会社Comcast(世界最大規模のケーブル会社)傘下の系列全米ケーブル局G4(ジーフォー)が放送した日本の『SASUKE(Ninja Warrior)』が人気となり、YouTubeでも拡散し始めたことで日本人の挑戦者が人気を呼んだこと。中でも長野誠氏の人気は爆発的なものだったという。次にG4が視聴率記録を連発していたこともあり、人気を当て込んで、NBCが現地制作番組としてフォーマットライセンスして『American Ninja Warrior』を放送し始めた。

このとき、TBSはNBCが制作した現地制作番組の米国外での海外配給権まで獲得している。さらに、米国現地制作版の人気が高まり、NBCとG4の両局のゴールデンタイムで放送されるようになったことでさらに幅広い視聴者層に人気拡大した。

この時点までで、フィットネス大国でもある米国では、特にスポーツや肉体を鍛えることが好きな人たちの間で定着したフォーマットとなった。NFLやMLBなど、各種有名プロスポーツ選手や格闘家、フィットネス業界の著名人や、スポーツとは本来は無関係な芸能人も含め、少しスポーツやフィットネスに興味のある人ならば、誰でも知っている定番のテレビ番組となったのだ。

上記のようにヒット作としての道を歩んだ『SASUKE』フォーマットだが、振り返ればその後の大ブレイクを引き起こす”下地”でしかなかったのかもしれない。昨年、『SASUKE』が世界中に爆発的に拡がる機会が訪れたのだ。

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