橋梁流出で廃線、高千穂鉄道「代替路線」の現在 たび重なる災害でバスも運行の確保に苦労する

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日之影町立病院が宮崎交通とすまいるバスの小さなターミナルとなっており、待合室も設けられている。14時57分発のバイパス経由高千穂行きには、他の路線の運用との兼ね合いか小型バスが現れて、意表を突かれる。しかし、混雑はない。この便にも観光客は乗っていた。

日之影町営病院前の延岡駅行きバス
日之影町立病院に到着した延岡駅行き(筆者撮影)
高千穂行き小型バス
高千穂行きには小型バスも充当される(筆者撮影)

高千穂行きはここからすべて同じ経路となり、いったんバイパスを進む。自動車専用道の高千穂日之影道路(九州中央自動車道の一部)が完成しているが、バスは旧国道へ左折。高台の高巣野地区を通る。再びバイパスに合流すると、岩戸川をまたぐ雲海橋を通り、高千穂町へ入る。

道沿いには都市部でもおなじみのファミリーレストラン、ドラッグストア、携帯電話ショップなどが次々に現れ、山深い秘境をイメージしていると面食らう。この町は人口1万人以上。延岡市内を除くと旧高千穂鉄道沿線唯一の高校も高千穂町内にある。そして道路整備により、他県ナンバーや大型車も含めて自動車の通行量が多い。

訪日客でにぎわうバスセンター

旧高千穂駅前を通り、町の中心部にある高千穂バスセンターには15時20分に着いた。延岡駅からここまでバイパス経由でも1時間20分かかっている。しかし、高校生向けか朝7時台、8時台に高千穂へ着く便も設定されており、高千穂バスセンターからも朝5時台に延岡駅行きが2本出発。早朝からの流動がうかがえる。

福岡行きの「ごかせ号」(筆者撮影)

高千穂バスセンターには観光案内所や宮崎交通の営業窓口などもあり、小規模ながらも地域の交通の中核となっている。待合室にはインバウンド客の姿も多く、16時37分発の延岡駅発西鉄天神高速バスターミナル行き「ごかせ号」と、16時57分発の熊本駅前行き「たかちほ号」に分かれて乗り込んだ。前者は1日4往復、後者も2往復(うち1往復は期間限定運行)もあり、山間部の基幹交通機関である。

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土屋 武之 鉄道ジャーナリスト

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つちや たけゆき / Takeyuki Tsuchiya

1965年生まれ。『鉄道ジャーナル』のルポを毎号担当。震災被害を受けた鉄道の取材も精力的に行う。著書に『鉄道の未来予想図』『きっぷのルール ハンドブック』など。

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