【痛風】マッサージで重篤化も!発作時のNG行為 処方が多い薬は?「尿酸降下薬ランキング」紹介

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実際、わが国ではどんな薬が使われているのか。特定の医療機関で患者約4500万人のデータベースを基に、処方された薬剤別の使用人数をはじき出すと、以下となる。

(表:メディカル・データ・ビジョンのデータを基に編集部で作成)

薬を続けなければならない理由

いずれにせよ、どのような尿酸降下薬を使っても、尿酸値を6.0mg/dLまで下げる必要がある。薬を使うことで関節に溜まった尿酸の塊がだんだん減っていくのだが、「尿酸の塊が減るのはゆっくりです。関節の組織が傷んでいたり、途中で生活習慣の改善がうまくいかなかったりすると、さらに減りにくくなるでしょう」と谷口さん。

このため現時点では、“薬はずっと続けるべき”という考え方が主流となっている。

もちろん、生涯、薬を服用することを負担に感じる人もいるだろう。それに対して谷口さんは、「私の場合、尿酸値をきちんと下げた状態が5年程度続いたら、患者さんと相談したうえでいったん薬を中止してみることもあります。もちろんその後も定期的に検査は行います」と話す。

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高尿酸血症の治療はドロップアウト(治療を途中でやめてしまう)率が高い。痛風の発作が治まってしばらく経つと、「もう大丈夫」と油断してしまうからだ。しかし、発作の根本原因が改善されないまま治療を中断すれば、当然ながら、発作が繰り返される。

発作を繰り返す状態(すなわち、尿酸値のコントロールが悪い状態)を続けると、高血圧や糖尿病などの生活習慣病を併発したり、悪化させたりして動脈硬化が進み、腎不全や心筋梗塞、脳卒中など、生死に関わったり、QOL(生活の質)が落ちたりするような病気を患う恐れもある。

そのため、生活習慣に留意しながら、治療を継続するように、谷口さんは繰り返し患者に説明するという。

(取材・文/伊波達也)

複十字病院膠原病リウマチセンター長
谷口敦夫医師

1983年、三重大学医学部卒業。1985年、東京女子医科大学附属リウマチ痛風センター助手。1991年、アメリカカリフォルニア大学サンディエゴ校研究員。2003年、東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター助教授。2018年、同大膠原病リウマチ内科学講座教授。2020年6月より現職。日本痛風・核酸代謝学会理事、日本リウマチ学会評議員・指導医・専門医、日本脊椎関節炎学会理事。『大丈夫!何とかなります 尿酸値は下げられる』監修(主婦の友社)、『マンガでわかる痛風の治し方』著(主婦の友社)ほか著書多数。
東洋経済オンライン医療取材チーム 記者・ライター

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