「歩けないほど痛みが強い場合は、氷や保冷剤などで患部を冷やしたり、クッションなどの上に足を置いたりして、安静にします」(谷口さん)
痛いからとマッサージをしたり、さすったり、もんだりしないこと。悪化する可能性がある。激痛が少し軽くなって動かせるようになっても、足に刺激を与えるような行動はできるだけ避けたい。歩くときはスリッパやサンダルなど、足を締め付けない履き物がよいという。そして「移動できるようになったら、病院を受診してください」(谷口さん)。
市販の痛み止めで悪化
ガマンできない痛みを取りたいとき、市販の痛み止め(非ステロイド系抗炎症薬)は飲んでいいのだろうか。
「非ステロイド系抗炎症薬は、患者さんの合併症や服用している薬によって選択が異なってくるので、医療機関で指示を受けて服用するのが原則です。市販の痛み止めのなかでは、カロナールなどのアセトアミノフェンは比較的安全に使えると思いますが、効果は弱いです。バファリンに代表されるアスピリン(アセチルサリチル酸)は、発作が悪化する恐れがあるので、痛風発作の治療には向きません」(谷口さん)
もちろん、発作が起こっているときの飲酒は厳禁。脂身の多い肉も控えたほうがいいとのこと。発作を悪化させたり、長引かせたりするリスクがあるためだ。
受診先は、もし高尿酸血症でかかっているクリニックや病院があれば、そこで診てもらうといい。一方、今までどこの医療機関にもかかっておらず、初めて痛風発作が出た場合は、内科、整形外科、外科、リウマチ科あたりがいいそうだ。
医療機関では、まず問診や触診で病状を確かめる。関節のX線や、最近では関節超音波検査を行うこともある。関節液を抜いて、関節液のなかに尿酸の塊がないかを調べることもあるという。
そのうえで、痛みと炎症を抑えることを目的に、非ステロイド系抗炎症薬や、プレドニゾロンなどのステロイド薬、コルヒチンのいずれかが使われる。いずれも飲み薬だが、ステロイド薬の場合は関節注射もある。
「まずは痛風発作を抑える治療を優先させます。尿酸値を下げる治療は、発作が治まった後、しばらく様子を見てから始めます」(谷口さん)
ちなみに、痛風発作を繰り返していると、発作の前触れがわかるようになるそう。
足の親指がぶつけたわけでもないのになんとなく痛い、むずむずする感じがする……といった症状で、その後、半日から1日の間に発作が起こる。この前触れがあったときに、前述したコルヒチンという薬を1錠飲むと、本格的な発作を防ぐことができる(ただし、この前触れ、初めて発作が起こった人が感じるのは難しいとのこと……)。
続いて、尿酸値を下げるための薬物治療について見ていこう。
医療機関では、まず採血や採尿のほか、必要に応じて関節のX線や超音波、腹部超音波、尿酸クリアランス(後述)などの検査を行って、どんな原因で尿酸値が上がっているか、そのタイプを調べる。
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