【痛風】マッサージで重篤化も!発作時のNG行為 処方が多い薬は?「尿酸降下薬ランキング」紹介

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正常な人は、1日に尿酸を約700mg産生し、約700mgを排泄する。そのバランスが崩れると尿酸が体に溜まることになるが、そのバランスによって「尿酸産生過剰型」「尿酸排泄低下型」「混合型」に分かれる。尿酸クリアランス検査とは尿中の尿酸の量を測る検査で、尿検査と同時に血液検査を行う。2時間ほどかかるが正確に病型を診断できる。

「尿酸産生過剰型」は体内で尿酸が過剰に作られるタイプで、暴飲暴食や果糖の過剰摂取などが原因となる。

「尿酸排泄低下型」はプリン体は増えていないが、尿酸の排泄が悪い状態で、たとえば肥満に伴ってインスリン抵抗性(インスリンの効き具合が低下している状態)があると、このタイプになる。

そして、その両方の原因が混在しているのが混合型だ。

痛風のタイプ別「薬の使い方」

尿酸を下げる薬も、原因のタイプに応じて尿酸生成抑制薬と尿酸排泄促進薬がある。それぞれどう使い分けるのだろうか。谷口さんは言う。

「日本では以前から、尿酸がたくさん作られる人には尿酸生成抑制薬を、尿酸の排泄が悪い人には尿酸排泄促進薬を使っていましたが、実は確固たるエビデンスはありません。海外では尿酸生成抑制薬が主流で、最近では日本でもそちらを使う機会が増えています」

タイプでいうと尿酸排泄低下型が7〜8割程度と多い。にもかかわらず、尿酸生成抑制薬のほうが使われている理由は、尿酸排泄低下型や混合型にも使うことができるためだ。一方、尿酸排泄促進薬は尿酸産生過剰型には使いにくいという。

「尿酸がたくさん作られている人に尿酸排泄促進薬を使うと、尿の中に尿酸がどんどん出てしまい、腎臓に負荷がかかる心配があります。尿路結石ができる恐れもあります。実際、尿路結石がある場合には、尿の中に尿酸を増やさないほうがよいため、尿酸排泄促進薬は避けています」

と谷口さん。また、腎機能が低下していると尿酸排泄促進薬の効果が落ちるので、この場合も尿酸生成抑制薬を使うことが多いそうだ。

ここで薬の種類について解説したい。

尿酸生成抑制薬には、フェブキソスタット(フェブリク)、アロプリノール(ザイロリックなど)、トピロキソスタット(トピロリック、ウリアデック)がある。

アロプリノールは1964年以来ずっと使われてきた古くからある薬、フェブキソスタットは2011年に保険収載された薬だ。

「アロプリノールでは1日2〜3錠服用(200〜300mgを2〜3回に分ける)する必要があるのに対し、フェブキソスタットは1日1錠(20〜60mg)ですむので、続けやすいメリットがあります。また、腎機能が低下している場合でも使いやすいです」(谷口さん)

2013年に登場したのがトピロキソスタット。1日2回投与で、やはり腎機能が低下している場合でも使うことができる。

尿酸排泄促進薬の代表的な薬は、プロベネシド(ベネシッド錠など)、ベンズブロマロン(ユリノームなど)、ドチヌラド(ユリス)だ。

プロベネシドは1951年頃からある古い薬で、最近ではあまり使われなくなってきている。1970年代に登場したのがベンズブロマロンで、日本では尿酸排泄促進薬のなかで最も多い。2020年に登場した新薬、ドチヌラドは、少ない量で効果があり、肝機能障害などの副作用が出にくいとされる。

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