日銀の手持ちカードは尽き、「円売り」挑発が襲う 「玉虫色の修正」が招く「引き締め」催促相場
大義はあくまで「債券市場の機能やその他の金融市場におけるボラティリティに影響が生じる恐れ」を和らげる技術的な措置との位置づけである。
しかし、現実問題として長期金利が約9年ぶりの水準(0.6%付近)まで上昇している以上、「これは引き締めではない」はかなり苦しい。
無限連続指し値オペについても「1%まで上昇することは想定していないが、念のための上限として1%とした」と述べており、現実的ではない水準を上限としていることを暗に認めている。
ということは、事実上、YCCの制約はなくなっている(撤廃されている)とも言えるだろう。
玉虫色の決定は「YCC実質撤廃」
会合後、円金利市場で起きていることを総括すると「YCC撤廃による長期金利上昇」以外、何物でもない。総じて、「引き締めたい」という本心と「引き締めではない」という建前が混在した結果、相当に玉虫色の決着となっていると言わざるをえない。
このタイミングで決断した理由に関し、植田総裁は展望レポートの物価見通し引き上げを理由に持ち出している。これは従前より想定されていた動機づけである。筆者は2023年10月の展望レポートでそのような動きがあるとにらんでいたが、思ったよりも早く現実を認めた印象である。
コアCPI(消費者物価指数、生鮮食品を除く総合)見通しに関し、2023年度が1.8%から2.5%へ大幅修正されており、この「裏」として2024年度を2.0%から1.9%へ引き下げている。
「願望」レポートとも揶揄されてきた展望レポートのコアCPI見通しの甘さは、遅かれ早かれ実態に即した修正が不可避であったが、今回、思い切って現実に寄せてきた格好である。このタイミングで政策修正を図るのは当然だろう。
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