さらに、2021年9月に投入した「CX-30 EV」の累計販売台数(2023年6月まで)が600台に過ぎないことから、中国でマツダのBEVシフトの本気度に疑念も生じる。
再生可能エネルギーや自動運転技術のイノベーションから、人々のライフスタイルの変容が生じるまで、BEVオンリーではなく、中国市場におけるパワートレーンの多様化は依然として欠かせないものだ。ガソリン車を必要とする利用シーンが残るとすれば、ガソリン車メーカーが残存者利益を獲得できる。
しかし、量産効果によるコストダウンが見込まれず、かつ競合企業を大きく上回るブランド力がなければ、自動車メーカーはガソリン車の残存者利益を享受できず、販売台数はさらに減少していくと予測される。
特に従来のパワートレーンの最適化で差別化を図るユニークなガソリン車メーカーにとっては、厳しい争いが迫られており、自動運転機能や乗車体験を含むコネクテッドカー開発の工夫が必要だ。
トヨタハイブリッド搭載のCX-50を導入予定
マツダは2023年4月、中国事業の戦略機能を広島本社から上海に移転させた。これは、市場戦略の決定スピードを加速させるためである。
6月末にはMAZDA3のマイナーチェンジを実施し、2022年モデルから約3万元値下げした8.99万元から販売している。廉価帯車をほとんど手がけておらず、パワートレーンの優位性で人気を博してきたマツダも、値下げを余儀なくされた格好だ。
また、2023年にトヨタのハイブリッドシステムを「SKYACTIV-G」ガソリンエンジンと組み合わせたCX-50のハイブリッド仕様を投入し、さらに2025年末までに新型BEVを投入するという。
一方、日系の中国合弁事業が苦戦し続けると、現地パートナー企業の意向に引きずられやすくなる。地場サプライヤーの採用による部品コストの低減を図る一方、販売体制の強化も行う必要がありそうだ。
2022年9月、長安汽車集団の自主ブランド事業で実績を挙げた鄧智涛氏は、長安マツダの副総裁に着任した。販売網のデジタル化やユーザー同士の交流を含むマーケティング戦略から腕を振るう意欲を示した鄧氏により、マツダが再び成長の軌道に乗せることができるかが引き続き注目される。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら