CX-50投入もマツダが中国で直面する3つの課題 本気度見えぬBEVとガソリン車の値下げに懸念

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現在、中国では、7速DCT(デュアルクラッチ変速機)や8速AT(オートマチック変速機)を搭載する4輪駆動(AWD)のSUVが人気を集めている。前輪駆動(FF)で6速ATのCX-50は、走行面での優位性に乏しい。

エンジンは2.5Lと2.0L、2種類の自然吸気ガソリンエンジン「SKYACTIV」をラインナップするが、地場ブランドSUVエンジンと比べると、最高出力138kW、最大トルク250Nmの2.5Lガソリンエンジンでも、アウトドアに強いとは言いがたい。

「作れば売れる」時代の終焉で今、分岐点に

3つ目は、BEVシフトに乗り遅れた中堅自動車メーカーの生き残りだ。

中国では、消費志向や車両技術の変化により、新車市場の競争が一層激しくなっており、かつての「作れば売れる」と言われた時代に成長してきた外資系メーカーが、分岐点を迎えている。

今年に入って、ホンダは広汽ホンダ(広州汽車との合弁)で生産する高級車ブランド「アキュラ」の生産・販売を停止し、三菱自動車は3月から広汽三菱(広州汽車との合弁)・長沙工場の生産を停止している。

アキュラは北米を中心に展開するホンダの高級ブランド(写真:本田技研工業)
アキュラは北米を中心に展開するホンダの高級ブランド(写真:本田技研工業)

日産の高級車を生産する東風インフィニティの2023年1~6月販売台数は約3000台と、2019年の4分の1に過ぎない。一方、トヨタは複数の合弁企業を展開しており、兄弟車の投入や中国仕様車の開発などを通して、消費者ニーズにきめ細かく対応するマーケット戦略を打ち出し、ガソリン車シェアの維持を図ろうとしている。

マツダの中国での主力工場となる長安マツダ・南京工場(年間生産能力22万台)は、約200社のサプライヤーと取引しており、ガソリン車6モデル、BEV1モデルを生産している。しかし、ガソリン車を対象とする中国の自動車取得税の半減措置が昨年末に終了したことを受け、2023年1~6月の販売台数は前年同期比で約5割減の3.2万台に。

マツダのグローバル販売台数に占める中国市場の割合は、2017年の19%から2023年1~6月の5%へと大きく下落した。そんな中で2023年7月、一汽乗用車(第一汽車傘下)への生産委託を終了し、生産を長安汽車との合弁会社、長安マツダに集中させている。

また「MAZDA3」の販売台数は、前年同期比で6割も減少した。それでもMAZDA3と CX-5の販売台数は、それぞれマツダ中国販売全体の37%、17%を占めている。初期の主力モデルに過大依存し、ラインナップの全面開花が実現できなかったマツダは、ガソリン車需要の減少により、製品の競争劣位が顕在化しているのだ。

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