株価で言うなら、28日の終値で見れば国内系の解釈のように、「実質的には微修正にとどまった」というのが正しい。しかし、外資系にいわせれば、ニュース第1報のインパクトが重要である。それからいけば「大きく動いた」ということになり、彼らは「自分たちが正しい」と思い込んでいるだろう。
トレードで設ける外資系は4回の機会を作り出した
ここで、もう1つ、マーケットストラクチャー的な要素(相場関係者の現実的な行動の枠組み上の影響によって市場が動くこと)も加わる。つまり、外資系関係者はトレードで儲け、国内関係者は長期のパフォーマンス、バイアンドホールド的な考え方である、ということだ。
有名な事実としては、株式も国債も、保有割合は国内系投資家が多い。それに比して、取引量の割合は圧倒的に海外投資家、外資系プレーヤーが大きいという事実が挙げられる。この結果、外資系は動きを好む。
誤報でも何でもいいから、ニュースがあったほうがいい。むしろ「誤報歓迎」であり、誤報のときに動いて、その情報の修正で動くことで、十分儲けられる。
今回でいえば、(1)最初の「日銀は動く」という自分たちのポジショントークで動かし、(2)それがそうでもないという情報が広がって、元に戻り、(3)さらに28日午前2時のスクープで激しく動き、(4)再度、実質的な中身を解釈するとそうでもないといって戻す。つまり、4回大きく動いたので、トレードのチャンスが4回もあったということだ。
一方、国内系はそこまで機動的に動かないし、動かすことは諦めているから(あるいはそういう気はないから、あるいは海外系にやられっぱなしを甘受しているから)、結局「微修正があったけど、予想の範囲内だったね」で終わる。
大変興味深いケーススタディが1つ増えて、学者としては大変興味深い1日であった。
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