そして、最近は「一時よりも副作用は小さくなってきている」と言っている。XがAならPする。今はXはAでない。ならば、Pはしない、というのは論理学を習っていない幼稚園児でもわかるだろう。いい子にしていれば、お菓子は取り上げない。いい子にしているんだから、お菓子はそのままのはずだ。
外れたことを「人のせい」にしてしまう
では、幼稚園児でもわかることが、なぜアメリカを中心とする「MBAホルダー」の彼らにわからないのか。それは植田氏の話を聞いていないし、日本の金融の状況も見ていないからである。
なぜ彼らは「政策変更あり」と決めつけるのか。アメリカはインフレで大変なことになった。同国の中央銀行にあたるFED(連銀)は大慌てで金利を急激に引き上げた。インフレはようやく減速を始めたが、まだ十分に下がっていない。困っている。だから、FEDは小幅追加利上げを行っている。
一方、インフレの状況は、いまやアメリカよりも日本のほうが悪い。インフレ率自体も高いし、インフレ率が加速している。アメリカがやっているのだから、それより今やインフレ率が加速しかかっている日本は金融引き締めをしなくてはいけない。だから、日銀はやるはずだ。やらなければアホだ。こういう考え方である。
そして、日銀が動かないから、仮説1にたどり着き、「日本は本当にわけわからん」というレッテルを貼る。自分の予想が外れたことを人のせいにして、今後も何か予想が外れれば、それを「日銀のせい」「日本側のせい」にする。
まあ、この種のパターンはほかのところでも第2次世界大戦後に繰り返されてきたわけだから、今さらいうことでもない。だが、繰り返しになるが、ここで興味深いのは、そういう思考パターンをとるのは、ニューヨークにいるアメリカ人アナリストだけではなく、東京在住の日本人ストラテジスト(ただし外資系所属)の人たちも、なのである。
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