さて、7月28日金曜日午後0時半。日銀は動いた。ここからは金融政策決定会合の結果を受けて書いている。
日本経済新聞の電子版が午前2時ごろに観測記事を配信。結果的に28日の金融政策決定会合の内容をすっぱ抜いたような形になった。これは、日経新聞は問題ないのかもしれないが、情報漏洩で、漏らした日銀関係者については処分するべきではないか。相場に大きな影響があり、午前2時ごろから情報にいち早くアクセスできた人だけが投資利益を得ることができた。実害もある。
「外資系」と「国内系」、正しかったのはどちらか
それはさておき、今回の日銀は大変興味深い意思決定を行った。まず、今回の記事で、筆者が冒頭から取り上げた議論についての、まさに最高のケーススタディとなった。
ここまで読んで、外資系金融関係者なら「なんだ、オバタ。外資系のオレたちの予想が当たったじゃないか。お前の分析こそ間違っているじゃないか。ほら見ろ、やっぱり日銀は動いたじゃないか。政策変更があったじゃないか。今回の政策は曖昧で解釈は難しいと言うかもしれない。だが、実際にマーケットは動いた。ということは、政策変更があったということだ。どうだ、参ったかオバタ」と言うかもしれない。
一方、国内系関係者は、自分たちの予想どおりに日銀は行動したと思っているだろう。「今回の政策修正は微修正であり、緩和から引き締めの転換の第1歩と思われないように、非常に慎重な仕組みになっている。やはり、緩和の修正はなかった。YCCの微修正で、緩和の持続性を高めた。最高の政策調整であり、緩和の修正をせずにYCCを効果的に修正した。予想どおりだ」と。
どちらが正しいのか。実際、どちらの解釈も正しい。だから今後、外資系のストラテジストも、国内系のエコノミストも、自分たちの分析手法、判断、行動を変えることはないだろう。その結果、前段の「小幡理論」、行動経済学的な金融関係者の思考回路分析は有効性を維持する。
とりわけ興味深いのは、市場が激しく動いたことだ。それも、午前2時ごろのニュースで大きく動き、また日本時間午前9時からの株式市場現物でも、日経平均株価はいったん大きく下落し、前日比で800円以上も下げた。だが、その後は下げ幅を縮小し前日比131円安にとどまった。為替もいったん大きく動き、3円以上ドル安円高に振れたが、その後は振れ幅を縮小し、1ドル=139円台まで戻した。
つまり、一時的には大きく動いたが、情報が処理されるにつれて、その大半はキャンセルアウトされた(打ち消された)のである。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら