「超ひも理論」の理解者はパンダより少ない! 天才物理学者・浪速阪教授に聞く<2>

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――たしかにアーサー・C・クラーク(SF作家)の静止軌道という空想があったから、われわれはBS放送を見ることができるのだし、宇宙エレベーターも実現しそうな勢いである。そういったSFが現実になることに対しての喜びまたは危機意識のようなものは、おふたりにはないのですか。

橋本仲野 うーん。

――マーケティングの人間には、あります。というのは、これだけビッグデータの解析が進むと、人がマーケティングをするスキがなくなるから。コンビニの棚ぐり、つまりどこの棚に何を置くかも、季節や天気、近所で開かれるイベント、ローカルのテレビCMなどの要素で自動的に決まる。

仲野:それにあらがって、ええ場所に商品を置いてもらおうとすると、メーカーがようけ金を払わなあかんらしいですわ。

橋本:そういう意味では、研究についても、すぐに儲かる・売れる研究だけやれという世の中になってしまうのではないか危機感はありますね。

「反り牛」Tシャツは実在した

これがそりうしならぬはんりうしTシャツ

――なるほど。ところで橋本先生は1973年生まれなので今年42歳ですよね。そんなに若くして阪大の教授って、ありえるんですか。ありえるから橋本教授なのは重々承知しているのですが。

橋本:そうですねえ。39歳で教授になりましたけど。

仲野:僕は38歳。たぶん、当時では阪大で2番目かしらんの若さ。

えっ。

仲野:優秀だったんです!若かった頃は……。

さて、そろそろ場所を橋本先生の研究室から北新地の方へ移しませんか。この段階になって、ボクは橋本先生が着ているTシャツの柄に気がついた。

パパは、友達がデザインしたという「素粒子Tシャツ」をいつも大事そうに着ている。「そりゅうし」と「反り牛」をかけて、牛が反っているデザインのTシャツだ。

※出典『超ひも理論をパパに習ってみた 天才物理学者・浪速阪教授の70分講義』123ページ

 

今回の訪問の目的の半分は、天才物理学者・浪速阪教授のモデルであろう橋本先生が本当に「反り牛」Tシャツを着ているのかを確かめることであった。反り牛ですね、それ。いや、待てよ。反っていることは反っているが。

続きは新地で……。

橋本:これ、反粒子です。「はんりうし」。「こうし」バージョンもあります、仔牛。光子。

「そりうし」「はんりうし」「こうし」とも、橋本先生の友人である佐賀大学准教授橘基さんとその夫人で折り紙研究家の川村みゆきさんによる共同デザインだそうである。

橋本:これ、外国人にはどれだけ時間をかけて説明しても、結局「なるほどぉ」っとはわかってもらえないんです。ギャグやのに説明せなあかんほどむなしいことはないです。

超ひも理論のわかりやすい解説同様、それもあきらめないでください。

成毛 眞 元日本マイクロソフト社長、HONZ代表

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なるけ まこと / Makoto Naruke

1955年北海道生まれ。元日本マイクロソフト代表取締役社長。1986年マイクロソフト株式会社入社。1991年、同社代表取締役社長に就任。2000年に退社後、投資コンサルティング会社「インスパイア」を設立。現在は、書評サイトHONZ代表も務める。『amazon 世界最先端の戦略がわかる』(ダイヤモンド社)、『アフターコロナの生存戦略 不安定な情勢でも自由に遊び存分に稼ぐための新コンセプト』(KADOKAWA)、『バズる書き方 書く力が、人もお金も引き寄せる』(SB新書)など著書多数。

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