最高級スーツテーラー、「職人の再生」へ挑む どん底人生を変えたのは10個目の事業だった

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松井さんの人生曲線。底辺からの復活

今まで闇雲にビジネスを始めてきたのと違い、スーツを作った瞬間に感じたのは、それまでとはまったく違うものだったと松井さんは言います。

「ちゃんとしたスーツを仕立てたのですが、その時にピンときました。この仕事ができればいいなぁ、この仕事をしたいと。でも最初からスーツのオーダーメイドサロンはできませんから、最初はスーツサロンの営業代行をし始めました。すると一着、一着、少しずつですが売れ始めたのです。もしかしたら最初から気持ちがこもっていたのかなって思います」

オーダースーツの営業代行事業に一点集中

ドットテイラーでの松井拡運さん(左)と、弟・陽介さん(右)。二人三脚でやってきた

松井さんは、この出会いを大事にしました。思い切って、進めてきた9つの事業をすべてやめて、このオーダースーツの営業代行事業に一点集中します。そこから、毎日スーツ漬けの日々が始まるのです。

「とにかく毎日寝ても覚めても、考えるのはスーツのことばかり。時間があれば、百貨店で最高級のスーツを見て回り、スーツの歴史からスーツのパターンまですべて暗記しました。とにかくとてつもない量の勉強をしたと思います。すると、スーツも統計学のようなもので、頭の中でスーツの黄金比の組み合わせが見えるようになってきました。今では、誰よりもスーツのことを知っているという自負があります」

一着一着営業代行でスーツを売りながら、毎日スーツの勉強漬けの日々を1年。満を持して、2010年にオーダースーツサロン「DOT・TAILOR」を始めます。もちろん、信じて一緒に続けてくれた弟・陽介さんも一緒でした。

10個目でようやくピンときた事業を掴んだ松井さん。さらに、スーツサロンを立ち上げてから起こったひとつの出来事が、松井さんの問題意識を確固たるものに変えました。

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