最高級スーツテーラー、「職人の再生」へ挑む どん底人生を変えたのは10個目の事業だった

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順調にお客様も増え続けている「DOT・TAILOR」は、「職人再生」という理念のもとさらなるアクションを始めようとしています。

「自社の工房を立ち上げる準備に入り、縫製職人を育てる体制を作り始めています。もちろん、職人さんが一人前になるには、10年はかかると言われています。だからこそ一刻も早く誰かがやらなくては、世界トップレベルの縫製職人さんたちの技術は途絶えてしまいます。自分たちができることを少しずつ始めていきます」

さまざまな業界の職人さんたちと一緒に仕事をしたい

4月には、「オーダーメイドスーツを着る人の成功習慣」(東邦出版)を出版

そして、松井さん自身も新たなアクションを始めようとしています。ここまで一緒に苦楽を共にしてきた弟・陽介さんに「DOT・TAILOR」を任せ、「職人再生」の分野を広げようとしています。

「ドットテーラーの枠を超えて、さまざまな業界の『職人再生』という課題に向き合ってみたいと考えています。いいものがあるのに、売り方や高齢化の問題などを抱えている業界がたくさんあります。できれば、47都道府県のさまざまな業界の職人さんたちと一緒に仕事をしたいですね。47都道府県、メイドインジャパンプロジェクトですね」

今回の挑戦者、松井さんの挑戦ストーリーは決して美しいものではありません。むしろ、美しく見える高級オーダーメイドスーツサロンの裏側にこんな泥臭い挑戦ストーリーがあったのかと考えさせられるものです。しかし、真に挑戦をしたいと思うものへの辿り着き方は、人それぞれです。松井さんのように、藁をもつかむ思いでさまざまなものにトライした先に、人生の目標を見つける人もいるのです。

山崎 大祐 マザーハウス 副社長

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やまざき だいすけ / Daisuke Yamazaki

1980年東京生まれ。高校時代は物理学者を目指していたが、幼少期の記者への夢を捨てられず、1999年、慶応義塾大学総合政策学部に進学。大学在学中にベトナムでストリートチルドレンのドキュメンタリーを撮影したことをきっかけに、途上国の貧困・開発問題に興味を持ち始める。2003年、大学卒業後、 ゴールドマン・サックス証券に入社。エコノミストとして、日本及びアジア経済の分析・調査・研究や各投資家への金融商品の提案を行う。2007年3月、同社を退社。株式会社マザーハウスの経営への参画を決意し、同年7月に副社長に就任。副社長として、マーケティング・生産の両サイドを管理。1年の半分は途上国を中心に海外を飛び回っている。

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