知らずに「わが子の脳の発達を妨げる親」の悪習慣 必要なのは日々の「サーブ&リターン」

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

極度のストレスを放っておいて、子どもの心が傷つききってしまうと、それを癒やすのは非常に難しくなってしまいます。そのため、強いストレスに子どもがさらされてしまったときは、すぐに子どもの心をサポートして、その後そのストレスが続かないようにしましょう。そうすることで、子どもの心や脳への悪影響を最小限に抑えることができます

実際、子どもの心にトラウマが与える影響は、どんなトラウマだったかということよりも、その出来事が起きたときにどんなサポートがあったかで決まってくるともいわれているくらいです。

子どもの脳を育てる最もシンプルで最も効果的な方法

次に、積極的にやるべきことを解説しましょう。

まずは、最もシンプルで効果的、かつ子育ての基本となる方法をご紹介しましょう。前回記事でもご紹介したハーバード大学の「子どもの発達センター」が推奨する「サーブ&リターン(Serve & Return) 」という子育て習慣です。

「ダメ子育て」を科学が変える!全米トップ校が親に教える57のこと (SB新書 622)
『「ダメ子育て」を科学が変える!全米トップ校が親に教える57のこと 』(SB新書)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

最初のステップは「サーブ」から。テニスでいうところの、ボールの1打目のイメージです。たとえば、赤ちゃんが「バブバブ」と声を出したり、手足を動かしたりしているのもすべて赤ちゃんからの「サーブ」と解釈されます。

そして、親が「リターン」を返します。つまり、なんらかの反応を示すということです。たとえば、話しかけたり、なでたり、笑顔を返したり。

非常にシンプルな習慣ですが、そうした「サーブ」と「リターン」のやりとりが、子どもの認知能力やコミュニケーション能力の発達に欠かせないことがわかってきています。

したがって親として第一に大切なのは、子どもからの「サーブ」に目を凝らして、しっかり「リターン」を返すことなのです。

「サーブ」に気づかなかったり、無視したり、身勝手に返したり返さなかったりすると、子どもの脳の自然な発達をベストにサポートすることができません。

そして、「サーブ&リターン」は、赤ちゃんよりも大きくなった子どもたちにも重要です。年齢にかかわらず、子どもたちの問いかけや表情、ジェスチャーに対してつねに「リターン」を返すという、いわば「子育ての基本」を忠実に守ることこそが、子どもの自然な脳の成長をサポートするためのシンプルな近道なのです。

星 友啓 スタンフォード大学・オンライン高校校長 哲学博士

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ほし ともひろ / Tomohiro Hoshi

スタンフォード大学・オンラインハイスクール校長。哲学博士。1977年生まれ。東京大学文学部思想文化学科哲学専修課程卒業。その後渡米し、スタンフォード大学哲学博士を修了。同大学の講師を経てオンラインハイスクールの立ち上げに参加。2016年より校長に。オンライン教育の世界的リーダーとして活躍。『全米トップ校が教える自己肯定感の育て方』など著書多数。
公式サイト/https://tomohirohoshi.com

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事