日経平均はやはり高値3万3753円を突破しそうだ 日本株を決める「4つの要因」を検証してみた
3つ目の需給はどうか。日本銀行が公表している6月のマネーストック「M3」(現金と預金などの合計)は、5月から3.7兆円増えて1594.6兆円と過去最高となった。また、前年同月比でも+2.1%と、昨年9月から安定的に2%台の増加が続いている。これは「お金ジャブジャブの状態」だ。
また、東京証券取引所の「株価改革」では、ROE(自己資本利益率)の向上が欠かせない。もちろん、取引相手のあることゆえ簡単ではないが、企業だけの政策変更で簡単に株価を上げることのできるのは「自己株消却」だ。お金が増え、株式が減る。やはり、需給関係も良好な状態が続くといえそうだ。
日銀株が急上昇したワケ
最後の人気はどうか。先週の20日、日経平均が前日比405円安になった中で、20%以上も上げていた「01銘柄」があった。ほかでもない、日本銀行(8301)だ。この日の出来高は4600株だったので、全員1単元ずつ買ったと仮定しても46人、2単元では23人の参加者しかいないことになる。
実は過去においても、相場にインフレの匂いがしてくると日銀は大きく値を飛ばす習性があることで知られる。こうした現象は、賃金上昇を伴う脱デフレ相場の人気の高まりとも読める。
実際、株式人気を高めている政府のNISA(少額投資非課税制度)政策は、2024年から生涯で使える投資額が1800万円に増え、否が応でも株式人気が上昇するだろう。
以上、株価をめぐる4要素を点検したが、この4つを見てもわかるように、踊り場のあとは再び「登りの階段」があると考えられる。
最後に今週の予定を確認しておこう。「中銀ウィーク」と言われるとおり、25~26日はFOMC(アメリカ連邦公開市場委員会)、27日はECB(欧州中央銀行)理事会、27〜28日は日銀金融政策決定会合と当局の金融政策会合が連続する。筆者はFOMC、ECBの利上げがそれぞれ0.25%と0.5%、日銀は変更なしと思っているが、株価はその先を織り込み始めている。
一方、日米の企業決算も佳境に入る。すでにアメリカでは中国経済の影響を受けて明暗が分かれており、個別企業の株価は激しい動きをしている。金融株やジョンソン&ジョンソンなどが買われる一方、テスラは売られた。
今週はアメリカではGE、GM、3M、マイクロソフト、ボーイング、メタ、コカ・コーラ、AT&T、フォード、マクドナルド、P&Gなど主役級の企業の発表が残っている。
一方、日本でもアドバンテスト、信越化学工業、武田薬品工業、中外製薬、オムロン、キヤノン、ヤクルト、OLC、コマツ、日立、NEC、キーエンス、デンソー、ファナックなどと続く。
また、企業業績だけでなく、アメリカの指標では重要なものが2つある。4~6月期GDP(国内総生産)と6月の個人消費支出だ。前者は1~3月期の前期比+2.0%と大きく変わらず、後者は5月の前年同月比3.8%上昇から若干低下するとみている。
重要な週ではあるが、4要素の解説のとおり、日経平均は7月3日の高値3万3753円で相場が終わったとも思えない。「いい買い場が続く」と考えれば、ここでじっくり仕込むこともできる。焦らずゆっくり行こう。この大相場の先は長い。
(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
信越化学工業の株価・業績、武田薬品工業の株価・業績、オリエンタルランドの株価・業績、中外製薬の株価・業績、コマツの株価・業績、オムロンの株価・業績、NECの株価・業績、アドバンテストの株価・業績、デンソーの株価・業績、ファナックの株価・業績、キヤノンの株価・業績 は「四季報オンライン」で
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