上司「組織社会化? けど、ちゃんと私は指導していますよ!」
そうでしょうか? では、ここで新人部下に接してきた自分を振り返ってみてください。たちえば、つい、2年目、3年目の社員に仕事を頼むような感覚でお願いしていたりしないでしょうか?
新入社員の気持ちになって考えてみてください。大きな期待を抱き、やる気に満ち溢れている一方、職場の人間関係、仕事への適応、同期間での初めての競争など、不安もいっぱいでしょう。だからこそ、受け入れる上司とその組織メンバーが「この職場にはあなたが成長する機会があるよ!」「あなたが一人前に育つよう精一杯力になるよ!」と、勇気づけることが必要です。メンター制度やOJT制度にも、そういった意図があります。
「即戦力化」に躍起になってはいけない
上司「あ!そうか。せっかく入社したのに、昨年は早々に辞めてしまった新人がいてガックリきたんだよな……」
「3年3割」という残念な言葉があるように、大卒者の離職率は1年目に11%、2年目までに21%、3年目までに29%と言われています(厚生労働省、職業安定業務統計、平成21年3月卒の場合)。これは社員にとっても、会社にとっても、大きなダメージです。そんなことにならないために、まずスタート時点から「育てる」意識を上司がチーム全員と共有すべきなのです。
上司「……たしかに、うっかり、忘れがち、かもしれないです(汗)」
無理もありませんよね。年々積みあがる目標数字と対峙しながら予算達成、かたや辞めさせないための念入りな新人教育……なんて、なかなかそこまで、頭も体も回りません。だから結局、新人を即戦力化しようと躍起になります。しかし、「即戦力」とは本来、「教育訓練なしにすぐに現場で使える」というもの。キャリア採用者には通じますが、大卒の新人にはちょっと当てはめにくい概念ではないでしょうか。
上司「ところで話は変わりますが、先日、新人君に『いまは200%力を出し切るべきだ!』と熱く語ったら、ドン引きされたんですよ……。何が間違っているのでしょうか?」
昔と今の違いの典型例かもしれませんね。ある職場の上司は、同じようなセリフを新人研修で叫んだら、新人から「私たちは長く働かなきゃいけない世代なので、いま全力疾走して力を出し切ってしまったら、将来が続きません」と言われたそうです。
早期離脱はあるものの、女性はライフイベントを経験しても長く細く働く時代になりました。その影響でしょうか、「今は80%くらいがちょうどいい」なんていう発想が生まれてしまうのかもしれません。
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