正直に言えば、私は同性婚の法制化に対して「熱烈に賛成!」というスタンスではありませんでした。どちらかといえば「賛成も何も、赤の他人の結婚なのに、“反対”とか“認めない”って言う人がいること自体が謎すぎる」というスタンスでした。でもSNS上で同性婚に反対を表明している人を見て、あまりに不思議だったので、反対派の主張内容についても真偽を調べてみたのです。
ですが、マンガの中で描いたように、反対派が「同性婚によって生じる」と訴える不安は、すでに法制化している国でとくに社会問題にはなっていませんでした。
「子どもの親は男性と女性がなるべきだ」という理由で反対する人もいますが、男性と女性の組み合わせだから必ず幸せな家庭が作れる、というわけでもありません。結局、親として大事なのは、セクシャリティよりもパーソナリティーだからです(これに対しては、前回までに詳しく描きましたので、そちらを参照していただけるとうれしいです)。
同性婚が法制化するといいことはある?
では逆に、同性婚が法制化することでいいことはあるのでしょうか? 当初、私は「当事者の選択肢が増えて幸せになるだけ」だと思っていたのですが、実は、社会にとってもいいことはあるようです。以下にまとめてみました。
・日本の対外的なイメージアップ…G7の中で日本だけが同性婚を認めていないので、他国から差別をする国だと認識されていることもある。
・海外からの人材が確保しやすくなる…海外に住むLGBT当事者が、同性婚が認められていない日本で働くことや起業を躊躇する現状がある。その中には、企業のエグゼクティブや高度な能力を持つ人材も含まれる(性的マイノリティの人権保護に関する議論や政策提言を目指す国際会議「Pride7サミット」2023より)。
・日本人の海外流出を防げる…LGBT当事者の日本人が、同性婚が認められる国で生活することを求めて海外に移住しているという現状がある。
・結婚ビジネスの活性化…同性カップルが公に認められることで、結婚式や新婚旅行などの消費支出が増え、経済にいい影響が出ると予想されている。
・自殺率の改善や健康の促進…同性婚を導入した地域では、 同性カップル間の関係の安定性を高めることで、心身の健康の増進につながり、当事者の自殺率が減少したと複数の国で報告されている。生活への不安やストレスがなくなることで、仕事のパフォーマンスは向上するだろう、という当事者の声もある。
・幸せな結婚が増える…仕事や家族環境などから、自分の性的指向を隠して異性と結婚するLGBTもいる。しかし、必ずしも「世間的なカタチ」に収まることで幸せになれるとは限らない。中には、結婚後にも違和感をどうしても拭えず、結婚生活がうまくいかない人もいる。自分を偽らない家庭が築けることで、結果的に、性的指向を原因とする家庭不和は減らせると思われる。
共同通信が3~4月、全国の3000人を対象に実施した世論調査では、71%が「同性婚を認める方がよい」と回答。「認めない方がよい」の26%を大きく上回っています。今後、同性婚について建設的に議論され、日本にとっていい方向に進むことを祈ります。
そして個人的な話ですが、今回、同性カップルや同性婚について徹底的に取材し、調べたことで、堂々と宣言できるようになりました。私は、日本での同性婚法制化に賛成し、それに向けた活動を全力で応援します。
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はらゆき / Harayuki
雑誌、書籍、広告、Webなどの媒体で執筆しつつ、コミックエッセイの著書も出版。2017年から約2年間バルセロナに住んだことをきっかけに、海外取材もスタートさせる。著書に『女子が踊れば!』 (幻冬舎)、『王子と赤ちゃん』(講談社)、『オラ!スペイン旅ごはん』(イースト・プレス)、この連載を書籍化した『ほしいのはつかれない家族』(講談社)など。この連載のオンライン・コミュニティ「バル・ハラユキ」も主宰し「つかれない家族をつくる方法」を日々探求、発信中。ハラユキさんのHPはこちら
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