介護福祉士に「一発合格」ベトナム人女性の決意 介護士の仕事を身に付けつつ、日本語を猛勉強
チャンさんは、すでに2021年7月にN2の日本語能力試験に合格し、長めの文章もスラスラ読めるほど日本語をマスター。続いて2023年1月の介護福祉士国家試験に照準を当て、自らテキストを取り寄せ、必死に学んだ。
「一番わかりにくかったのは、介護保険や年金などの社会保障制度のしくみについてです。すごく難しかったけど、途中でくじけることはありませんでした。日本に来る前から、『介護福祉士の資格を必ず取る!』と心に決めていたからです」(チャンさん)
こうしてチャンさんが並々ならぬ思いで資格取得を目指したのは、それによって日本での永住が可能になるからだ。
チャンさんは、3年間の技能実習を経て、「特定技能1号」として勤務していたが、その場合、在留期間は最長5年でそれ以降は本国に帰国しなければならない。
だが、介護福祉士の資格を取得することができれば在留期間が更新でき、日本で永続的に就労できるようになる。本国から家族を呼び寄せて、ともに日本で暮らすこともできるのだ。
「これは、日本で長く働きたいという外国人技能実習生にとっても、人材不足に悩む介護施設側にとっても、大きな意味があることです」と、チャンさんら技能実習生の来日をサポートした、国際情報ビジネス協同組合(盛岡市)の宍戸諭専務理事は付け加える。
憧れの日本で国際経験を積みたい
そもそもチャンさんがどのようなきっかけで来日したのか、経緯を振り返りたい。
ベトナムの首都・ハノイ近郊で、父母と兄の4人家族のもとで育ったというチャンさん。子どもの頃から『ドラえもん』などのアニメが好きで、日本に親しみをおぼえるようになった。
「いつか憧れの日本で働いて国際経験を積みたい」と希望を抱くようになり、高校卒業後に技能実習生に応募した。
「両親からは『あなたと離れるのはさみしい』と反対されましたが、どうしても海外に出て自分を成長させたかったんです。それに日本のほうが、お給料が高いことも確か。父母は地元の港で漁をしていますが、収入が不安定なので、仕送りして家計を助けたいという思いもありました」(チャンさん)
現地でチャンさんの面接を行い、日本への受け入れを支援したのは、先述した国際情報ビジネス協同組合だ。
同組合の宍戸理事は、外国人技能実習生を求人募集する介護施設の採用担当者らとともにベトナムに飛び、2018年4月に合同面接会を実施した。そこでチャンさんら10名の応募者の中から8名に内定を出した。
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