全国から人が来る「ガチ中華パン屋」の人気商品 こんなに中華パン揃う店は中国にもない?

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店のウェブサイトはまだないが、現状は中国の人気メッセージングアプリ「ウィーチャット(微信)」で2000人の顧客がおり、全国に宅配便で送っている。いずれはECサイトも作りたいそうだ。

王社長がこの店を開いた原点には、大連で過ごした子ども時代がある。

「学校からの帰り道に屋台があって、すごく安いんですね。ねじねじ揚げとかお焼きを1個だけ買って食べる。朝ご飯でも、屋台で揚げたてを待って牛乳と一緒に食べると、サクッとしてすごくおいしかった記憶があります。中国には、屋台で朝ご飯を食べる文化があります。うちでも親が真似してお焼きを作りました。きれいにまとめられずボロボロになっているけど、おいしかったです」と振り返る王社長。

「粉食は、僕の中で食べ物イコールそれ、ご飯イコールそれ。全部の食文化で、中国北部の粉食は最高の食文化です」。それは、日本人にとっての白いご飯と似た存在感ではないだろうか。

王社長
王社長(左)と、創業時から働いている劉さん(撮影:梅谷秀司)

在日外国人が多い新小岩

王社長が、中国出身者が多い町の中で条件が合う店舗を見つけた新小岩のアーケード商店街には、ガチ中華料理店、中国食材店、ハラルフードとケバブの店、ベトナムなどのアジア食材店など、移民たちが必要とする食材店が点在し、歩いてみると、日本人に交じってブルカをかぶった女性やインド人らしきカップルなど、旅行者とは違う自然体で歩くアジア各地から来た人たちを見かける。

店がある江戸川区(新小岩駅は葛飾区)は東京都区部の東端で、地価が比較的安い。2021年時点で在日外国人数は新宿区に次ぐ2番目に多く、区内の人口の約5%を占める。その中で最も多いのが中国人だ。JR総武線の隣、平井駅周辺には外国人留学生向けの日本語学校や中国人専門の大学受験予備校がある。

中華面食が行列するほど人気なのは、メディアでの紹介が多い影響もあるが、王さんが手作りのおいしさを伝えようと本格的な味に仕上げていること、在住中国人が多く中国に関心がある日本人も多いこともある。

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