全国から人が来る「ガチ中華パン屋」の人気商品 こんなに中華パン揃う店は中国にもない?

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「ねじねじ揚げは日本でも、長崎に細くてパリパリなものがあります」、と説明する王社長。長崎には江戸時代、福建省など中国南部の沿岸地域から来た人々が暮らしていた。「実はこれ、本当に食べるのは中国の北のほうです。最近では北のほうのねじねじ揚げはフワフワで、スタンダードなのは蜂蜜を練り込んだ『蜂蜜ねじねじ揚げ』(275円)です」と王社長は説明する。

台湾の朝ご飯アイテムとしても知られる油条は、必ず新鮮な大豆油で揚げている。「この辺には中国に出張していた日本人の方も多く住んでいて、これが食べたくてあちこちで探すけど、いいのがない。結局うちにたどり着くんですね。新鮮な油を使うので、この色に揚がるんです」と誇らしげな王社長。

油条
油条は新鮮な大豆油で揚げている(撮影:梅谷秀司)

福岡から「爆買い」しにきた人も

客の3割は中国出身の人たち。「興奮を抑えきれず、1個ずつ全種類買う、みたいな人が多いです。今日は仙台、北海道からわざわざ来てくれる人がいました。この間は朝、オープンしたら、福岡からスーツケースを持ってきてまとめ買いした人がいました。うちは保存料を使わず手作りしているのであまり日持ちしませんが、花巻など冷凍できるものもありますから」と王社長。食べたとたん、たくさんの思い出がよみがえった、など感激する中国人は多いと、王社長自身もうれしそうに話す。

王社長によると、実はガチ中華パンをひと通り集めた店は、日本で初めてというだけでなく、中国にもほとんどないそうだ。点心を作る面点師は免許が必要で、習得するのに10年、20年かかる。パイ、お焼きなど、ジャンルによっても必要な技術が異なる。中華面食では、王社長と2人の職人が得意分野で手分けして、このラインナップを揃えている。

肉まん
店内にはさまざまな種類の肉まんも(撮影:梅谷秀司)

「ここに並ぶ全部をまとめた呼び名は、中国でも粉食しかない。肉まんは肉まん、パイはパイだから。でも、わかりやすく伝える言葉は必要。だったら、パンがいいんじゃないか、と中国のパンとして紹介しています」と王社長。

手作りで保存料を使わないのは、日本人にも本来のおいしさを伝えたかったから。王社長は、日々店頭に立ち、来店した日本人客に1つひとつ商品を解説している。そのおかげもあって、日本人のリピーターも多い。日本人でも遠方から来る客は多く、先日は北海道から2人で来た客がいたという。

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