全国から人が来る「ガチ中華パン屋」の人気商品 こんなに中華パン揃う店は中国にもない?

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「ガチ中華」という言葉自体がここ数年流行しているように、全国で次々に増えている中国人が多い町で食べられる、中国北部の本格派料理を好んで食べる日本人がたくさんいることが人気の要因と思われる。

近年、世界各国との交流が活発になり、旅行やビジネスで中国他海外の食文化に親しんできた人がたくさんいる。外国の珍しい食べ物を試したい日本人も増えている。すっかりグルメになった日本では、食への好奇心が強い人が多いのだ。食べてみておいしい、となればリピートする。

日本に住む外国人が増え、食の幅も拡大

2010年代以降、日本に住む中国人などの外国人が急増している。治安が良く水道水が飲めるほど清潔で、人手不足に悩む日本は、外国人にとっても住む国として魅力らしい。また、戦後の奇跡的な復興の歴史や品質の高さで知られた日本製品への関心、信頼も特にアジアの国々では根強い。アニメやテレビ番組の影響もあるかもしれない。

店舗外観
新小岩の商店街にはハラル食品店や中華食材店などさまざまな店がある(撮影:梅谷秀司)

近年、アジア各地のスイーツや間食を売る店が、外国人が多い町にちょこちょこできてきている。西葛西にはインドスイーツ専門店がある。中東スイーツを売る小さな店もときどき見かける。

現地出身の人たちが主に開くそうした店は、王社長のように故郷の味を同郷の人たちに食べさせたい、日本人にも知ってほしいと思うのだろう。間食の分野まで飲食店ができてきたのは、それだけ移民文化が日本にも根付いてきた証しと言えるのではないか。

王社長は、故郷の味を恋しく思う全国の中国人たちに、ガチ中華パンを届けたいと願っている。高い技術を要する手作りの味を幅広く提供するのは容易ではないだろうが、まずは「山手線一周全部あるといいな。中国の人がいるいないに関係なく、どこでも近くで買えるようにしたい」と王社長が描く未来像は、私たちにとっても楽しみだ。いつか、パンをランチに選びたいが、ガチ中華パンと西洋のパン、どっちにするか悩む人が出てくるかもしれない。

阿古 真理 作家・生活史研究家

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あこ まり / Mari Aco

1968年兵庫県生まれ。神戸女学院大学文学部卒業。女性の生き方や家族、食、暮らしをテーマに、ルポを執筆。著書に『『平成・令和 食ブーム総ざらい』(集英社インターナショナル)』『日本外食全史』(亜紀書房)『料理に対する「ねばならない」を捨てたら、うつの自分を受け入れられた』(幻冬舎)など。

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