栃木県に突如出現「中国式の農場」その驚きの全貌 中国東北でお馴染みのガチ中華料理を堪能

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羊の丸焼きも堪能できる(写真:筆者撮影)

東京から高速道路に乗って北におよそ80km、栃木県栃木市の畑に囲まれたのどかな場所に、突如「中国式の農場」が出現する――。

その名は「北海農場」。野菜や椎茸の直売所や日本語の看板からは、一見どこにでもある普通の農家にしかみえないが、農場の中に一歩足を踏み入れると、雰囲気は一変。まるで中国の農場に来た気分になる。

中国語
北海農場にある宴会場の壁に書かれていた中国語。友達が遠くから来てくれる、 なんて楽しいことだ、という意味だ(写真:筆者撮影)

北海農場のオーナーを務めるのは范継軍さん。2016年に同農場を開園した。范さんは以前日本でソフトウェア開発のIT企業を経営。IT企業が軌道に乗ってきて新しい事業をはじめたいと思っていたところに、中国国内の農業関連の企業から「一緒に野菜の販売をやらないか」と声がかかった。それがきっかけとなり、北海農場を開園。前述の農業関連企業の日本側のパートナーとなり、椎茸栽培を始めた。

30種類の野菜を栽培

ところが2年後に中国のパートナー企業は撤退。范さんは椎茸だけの栽培だとリスクが大きいと考え、2019年頃からは、パクチーや葉ニンニクなど中国でよく食べられている野菜の栽培もはじめた。今ではこれらに加えて、ササゲ、空芯菜、モロッコいんげんなど季節ごとに30種類ほどの野菜を栽培している。

現在北海農場は東京の中華料理店や中華物産店などを中心に約400店舗に卸している。「近年は東京を中心に中国人が経営する中華料理の店が増えているため需要も大きく、中でも中華料理では定番のパクチーや、回鍋肉などでよく使われる葉ニンニクの出荷量が多いです」と范さんは話す。

筆者は日ごろから東京でガチ中華を食べ歩いている。日本の中華料理店やスーパーなどでは目にすることがほとんどない葉ニンニクやササゲなどを使った料理を出す中華料理店が東京で増えた背景には、北海農場をはじめとする中国系の野菜を栽培している農場の貢献があったのだ。

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