《プロに聞く!人事労務Q&A》震災で事業を縮小しなくてはならず、新入社員に担当させる仕事がありません。新入社員に自宅待機を命じることはできますか?

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休業手当は、使用者の責に帰すべき事由により労働者を休業させた場合に、平均賃金(これを算定すべき事由の発生した日以前3か月間にその労働者に対して支払われた賃金の総額をその期間の総日数で除した額をいう)の6割以上の支払義務を課すものです。

大震災による事業所の倒壊や生産設備の損壊等、直接的に受けた被害により事業の継続が不可能もしくは縮小せざるを得ないのは、天災地変等の不可抗力によるものであり、使用者の責ではないため、労働者を休業させたとしても休業手当の支払い義務は生じません。

しかし、今般のケースの研修終了後というのは、事業縮小の原因が、計画停電の実施や交通事情等の混乱による物資・燃料等の不足、来店者数の減少などといった経済的な事情であるものと思われ、すると自宅待機命令は使用者の判断であり、「使用者の責に帰すべき事由」に該当するものとして休業手当を支払わなければなりません。

朝比奈睦明(あさひな・むつあき)
東京都社会保険労務士会所属。1990年日本大学文理学部卒業。社会保険労務士事務所勤務を経て、2000年4月に社会保険労務士朝比奈事務所を開設。 主な業務分野は、賃金・評価制度等人事諸制度の構築、就業規則作成、社会保険事務アウトソーシング等。著書に「図解 労働・社会保険の書式・手続完全マニュアル」(共著)。


(東洋経済HRオンライン編集部)

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