仕事で成果出す人が実践「良い仮説」サッと作る技 短時間でできる「ヒューリスティック」とは?

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1つ目の前提として、顧客は何かを得るために費用を払います。現在の問題を解決してマイナスからゼロにするペインポイントの解消か、よりよくしてゼロからプラスにしていくゲインポイントの価値、どちらかに対しての対価として費用を払うのです。

「現在車を持っていないために移動が大変」や「車が小さくて荷物が運べない」ために車を買うのはペインポイントの解消が目的です。

「高級車に乗って注目を集めたい」「キャンピングカーにして週末車中泊を楽しみたい」というのは、より充実した生活を送るのが目的なのでゲインポイントです。

顧客が費用を払う理由

次の前提として、顧客が払う費用は、顧客にとって解消できるペイン、得られるゲインの価値より小さくなります。

2万円を払えば、1万円だけがそのまま返ってくると言われて払う人はいないと思います。顧客はペインの解消やゲインを得るために対価を払いますが、結果として自分にとっての得られる価値がその費用より大きいから払うのです。

もし「2万円を払って1万円が返ってくる」と言われて払う人がいるとすると、それは返ってくる1万円のほかに「払った相手からの好意」「ムダにお金を使うことでのストレス発散」など何かしらの価値を感じているからです。厳密に価値を計算しているわけではありませんが、感覚的にその合計の価値が自分の中で2万円失うことを上回るから支払っているのです。

さらに、行動経済学のプロスペクト理論の「損失回避性」にあるように、人には損失をより大きく評価する傾向があります。ほとんどの人は失う価値と得る価値が同等であれば費用を払って購入しません。プロスペクト理論を基にして考えると、購入してもらうためには、その人にとっての価値が1.5~2.5倍ほど必要です。

このような前提をふまえると、価格が高い商材を購入してもらうためには、より大きなペインを解決するか、大きなゲインを得ることができる必要があります。そして、多くの費用を払って価格が高い商材を購入するということは、失敗して期待した価値が得られなかった際の損失がより大きくなるので、検討が慎重になります。

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