日銀会合前後で株価が乱高下したらどうすべきか 「割高な米国株」「買われすぎの日本株」は修正へ

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縮小

アメリカについては、企業業績の不振も気がかりだが、量的な金融引き締めも景気悪化・株価下落要因として見逃せない。経済全体に出回っている資金量(現金と預金の合計)を計るM2は、統計開始以来初の前年比マイナスを、直近の5月分まで6カ月連続で記録している。

こうしたM2の縮小については、最近筆者が行っているセミナーの参加者だけでなく、報道の方々などからも、以下のような同じ質問を何度もいただいている。それは「確かにM2の前年比はマイナスだが、それは最近までM2が急増していたことの反動にすぎない。M2の水準自体は今でも極めて高く、カネ余りは解消されていないのだから、株価が上がるのは当然ではないか」というものだ。

やはりアメリカの「カネ足らず」は進行している

「多くの人が同じようなことを言う」というのは、多くの場合、とても影響力がある人が、そうした発言をしているケースが多い。そこであらためてデータを見ると、M2の実額自体も直近の2023年5月の金額は2022年の水準をすべて下抜けており、2021年8月の水準まで減ってしまっている。よって、「依然としてカネ余り」との主張は的を射ていないように思う。

また資金量は、本来は経済活動ないし経済規模との見合いで考えるべきだ。経済活動が膨らめば、当然、使われる資金量は自然に膨らむからだ。

このため「マーシャルのk」(M2÷名目GDP)が注目される。これは、2020年4~6月期にはコロナショックを受けて経済活動が急速に縮小した一方、経済を支えるための資金供給が行われたために急伸したが、そこから足元にかけては急落している。

こうした観点からは、やはりカネ余りというより、カネ足らずが進み、それがアメリカの経済活動や、引いては株価を圧迫していくだろう。

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