「撮影罪」から漏れた"アスリート盗撮"驚く悪質さ 注意すると逆ギレも…取り締まりは可能なのか

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昨今、問題となっている「アスリート盗撮」。7月13日に「撮影罪」が施行されたが……(写真:イチゴミナト/PIXTA)

「撮影罪」(性的姿態等撮影罪)が7月13日に施行された。正当な理由がないのに、ひそかに性的な部位や身につけている下着などを撮影する行為を処罰する法律だ。

当記事は弁護士ドットコムニュース(運営:弁護士ドットコム)の提供記事です

昨今、スポーツ選手を性的な意図を持って撮影する「アスリート盗撮」が問題となっているが、競技中のアスリートの股間等を撮影する行為は、着衣の上からの撮影のため、今回新設された「撮影罪」の対象にはならない。

対応に苦慮する現場からは「学生が純粋に競技ができる環境を整えてあげたいが、撮影機材や手口はどんどん新しくなり、いたちごっこの状態だ」という声が上がる。

「バカにしやがって」注意すると逆ギレも

日本の大学陸上を統括する「日本学生陸上競技連合」(通称・日本学連)は、長らく「アスリート盗撮」の対策に追われてきた。

障子恵理事によると、日本学連が対策を始めたのは、赤外線カメラで選手を透過撮影したDVDが販売されているのを確認したことがきっかけ。2006年から盗撮防止ポスターを掲示し、競技場内の巡回を始めた。

当初、撮影禁止エリアを決めていたが、通路を挟んですぐ隣の席から撮影したり、望遠レンズで撮影したりするケースが出てきた。そこで、スタート位置やフィニッシュなど撮影方向を制限したほか、競技中以外(スタート前やフィニッシュ後など)の撮影を禁止するようにした。

2015年個人選手権での禁止例(日本学連提供)

大会中は日本学連の委員らと学生補助員が協力して巡回をおこなっているが、限界を感じている。撮影ルールに反している撮影者を見つけた場合、移動のお願いや撮影ルールの説明をするが、声かけした学生が怒鳴りつけられたり「バカにしやがって」と逆ギレされたりすることもあった。中には、「金返せ」と学生から入場料を奪って帰った人もいたという。

次ページあくまで「お願い」なので、できる対応には限度がある
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